日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業

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では、具体的にどんな業界にディスラプションの波が押し寄せるのでしょうか。

『GAFA next stage』では、勃興するディスラプターとして、エアビーアンドビー、レモネード、ネットフリックス、ロビンフッド、スポティファイ、テスラ、ウーバーなどが紹介されています。

単純に投資のリターンを考えれば、そこまで大きくはない企業も出てきます。例えば、スポティファイはアップルミュージックなどの競合との競争激化から、株価の伸びでも顕著とは言えません。著者のスコット・ギャロウェイさんご本人が、ニューヨーク大学のマーケティング畑の方ですから、ブランドストーリーがしっかりとしていて、マーケティングに関して際立つ企業を並べたのかもしれません。

ここからは、私が投資家の視点で注目しているディスラプターをご紹介しましょう。いま盛り上がりを見せているのは、決済・フィンテックです。

私が注目している企業として、金融ディスラプターのストライプがあります。すごい勢いで成長している、とんでもない化け物企業です。ほかに、後払い決済のアファーム、バイナウペイレーターなども急激に伸びています。

これらのディスラプターによって、VISAやMASTERがやられるかもしれないという状況が見えてきていますから、「既存の巨人を倒す」という意味において、注目してよいでしょう。

ハイブリッドでは無理、世界はEVへ

ほかにホットなテーマと言えば、エネルギーですね。

最近は、EVのリビアンの話題が大きくなっています。リビアンは、アマゾンが支援するアメリカで人気のピックアップトラックのEVメーカーとして、2021年11月に上場しました。いきなり時価総額8兆円、一時期は10兆円を超えて話題になりました。

トヨタが30兆円、ホンダで7兆円ほどですから、それに匹敵するものがいきなり登場するという、とんでもないことが起きたわけです。リビアンには、日本企業からは住友商事が投資していて先見性を窺うことができます。一方で、ある意味、バブルではないかと言われるほどの過熱を見せています。

脱炭素に関する話は、世界でも頻繁に語られていて、もはや「ハイブリッドでは無理だ」というのが海外におけるコンセンサスです。日本国内では、基幹産業への配慮をしなければならず、言えないところがあるようですが、海外では真っ向からEVです。

電動トラックはリビアンが出していますし、テスラも、2022~23年にはサイバートラックを出すようです。次のモビリティがどうなるのかという点は、いま最大テーマです。

モビリティとエネルギーについては、パイが大きいために期待も膨らんでいます。それもあって、テスラの時価総額は一時100兆円を超えました。

本書では、資本主義の過熱が起きていると指摘されていますが、これは実際に起きていると言えます。スタートアップ業界は、IPOラッシュですが、必ずしも投資リターンに厳しくない事業会社が上場直前のステージで投資をすることによって時価総額を上げており、本来ならば、まだ上場を待ったほうがいい段階でも上場してしまい、上場後に株価が低迷してしまうこともあります。

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