高齢者の食事は「高カロリー」がいい意外な事情 基礎代謝は低くなってもエネルギーは消耗

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このように、「1日に60グラム、1食当たり20グラム」というラインは、普段から「たんぱく質をちゃんと摂ろう」と意識していれば、けっこう摂れるもの。感覚的な目安としては、1日に「両手山盛り一杯」の動物性たんぱくを摂るのを目標にするのがおすすめ。肉でも魚でも卵やチーズでも構わないので、両手で持って持ちきれないくらい山盛りの量を食べるようにするとよいでしょう。

市販のプロテインを摂取するのもいいと思います。プロテインといえば、かつては運動選手など一部の人のものでしたが、いまはコンビニやスーパーなどでもパックのプロテイン飲料が置かれています。ほかにも、最近はたんぱく質を強化したヨーグルトなど、さまざまな食品が増えているので、そうした食品を日々の生活に取り入れて摂取していけば、かなりの量のたんぱく質を上乗せできることになるはずです。

しっかり食べることは、人生の幸せにつながる

これまで見てきたように、多くのお年寄りが抱いている「食事の常識」は、最新の老年医学が導き出した「高齢者におすすめの食事の常識」と大きくズレている場合が少なくありません。

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  • 「年寄りの食べる量は少しでいい」
  • 「高齢者は低カロリー食でいい」
  • 「年をとったら肉は食べなくなるもんだ」

こんな考え方は早々に捨て去って、考え方を「令和の新常識」に180度切り替え、高カロリー、高たんぱくの食事をおいしくどんどん食べるようにするべきなのです。

先ごろ99歳でお亡くなりになった瀬戸内寂聴さんは、500キロカロリーものボリュームの朝ごはんを日課にし、お肉とお酒が大好きで、3日と空けずに牛肉のステーキを食べていたとか。最後まで肌もツヤツヤで、いつも幸せそうな笑顔を浮かべてパワフルに活躍されていましたよね。

食べることは、人生の幸せにつながります。老い先短くなった親に、幸せなラストステージを送ってもらうために、いま一度、「食べること」を見直してもらってはいかがでしょうか。

佐々木 淳 医療法人社団 悠翔会 理事長

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ささき じゅん / Jun Sasaki

1973年京都市生まれ。1998年筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院に内科研修医として入職。消化器内科に進み、おもに肝腫瘍のラジオ波焼灼療法などに関わる。2004年東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学。大学院在学中のアルバイトで在宅医療に出会う。「人は病気が治らなくても、幸せに生きていける」という事実に衝撃を受け、在宅医療にのめり込む。2006年大学院を退学し在宅療養支援診療所を開設。2008年法人化し、現職。2021年 内閣府規制改革推進会議専門委員。 現在、首都圏ならびに沖縄県(南風原町)に全18クリニックを展開。約6000名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行なっている。

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