「強すぎる」井上尚弥が日本になぜ生まれたのか 日本人が各種競技で世界の頂点に立てるワケ
そういえば近年、あらゆる競技で日本人が世界の頂点に立つようになった。特徴的なのは井上と同じように幼少の頃から競技者だった親の“英才教育”を受けて成長した選手が多いこと。レスリングの吉田沙保里さんをはじめ、フィギュアスケートの鍵山優真、伊藤美誠ら卓球の日本代表選手らはその典型例。今夏の東京五輪でメダルを量産したスケートボードの代表選手しかり。部活でスポーツに出合い、学校や企業で育成されるのが一般的だった時代とはずいぶんと様変わりした。
井上は時代を象徴するアスリート
真吾さんは1971年生まれ。ちょうど日本経済が絶頂期を迎えた80年代に青春を過ごした世代にあたる。ゆとりのできた大衆の間でスポーツの人気が急速に高まり、競技人口が増え、巨大な成長産業へと発展した時代でもある。スポーツで子どもを育てるという発想は、そんな業界を取り巻く社会環境の変化が、影響しているのかもしれない。
真吾さんが20歳のころに、バブル経済が崩壊した。「いい会社に入るために、いい大学に入る」といった昭和の価値観が崩れ始めた。一方、日本ボクシング界は辰吉丈一郎や鬼塚勝也ら人気王者が次々と誕生して平成の黄金時代を迎える。その後、真吾さんは仕事を抱えながら子どもを指導するためにジムまでつくっている。親の情熱と覚悟には脱帽するしかないが、ある意味で井上は時代を象徴するアスリートなのかもしれない。
(取材・文/首藤正徳)
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