「社員150人」超えで効率性や結束力が下がる理由 人類の進化から「ヒトの思考と行動」を読み解く

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ホモ・サピエンスが登場したのは20万年前。そして約7万年前、ホモ・サピエンスは大きな変革を遂げました。言語をもったのです。面白いのは、言語をもったために情報処理量が増大しその結果脳が大きくなったのではなく、先に脳が大型化しその後に言語をもったことです。

では、なぜ脳が大きくなったのか。霊長類ではそれぞれ種がつくる集団が大きくなればなるほど、脳に占める新皮質の比率が増え、脳容量も大きくなると考えられています(これを社会脳仮説といいます)。日常的に接する仲間の数が増えるほど集団内の個体間の関係が複雑になり、それを処理するために脳が大きくなる必要があったのでしょう。

ヒトが噂話好きなのはホモ・サピエンスの時代から?

われわれ現代人が、職場で関わる人が増えれば増えるほど人間関係で悩まされ、気苦労が増えるのと同じかもしれません。現代のサラリーマンが会社の愚痴や噂話で盛り上がるように、ホモ・サピエンスも仲間同士で愚痴や噂話をしていたのかもしれません。

居酒屋で酔っぱらいながら上司や部下の噂話で盛り上がる現代のサラリーマンの姿は、いつの時代にも見られます。また井戸端会議にも代表されるように、男女問わず私たちは噂話をしています。なぜ私たちはそれほどまでに、噂話がやめられないのでしょうか。

実は人類進化のターニングポイントである言語能力の獲得は、そうした噂話をするためだったと考えられています。生存率を高める150人程度の集団で生活するためには、家族以外の誰が味方になり、誰が敵になりうるかといった情報が非常に貴重になります。誰が信頼できるかの情報が得られれば、比較的大きな集団に属しても安心できるわけです。こうして、情報収集のうえで緊密な個体間関係を結び、協力し合うことで生き延びてきました。

また、私たちは噂話と同様に、視線によっても他者とコミュニケーションをとっています。

「目は口ほどに物を言う」といいますが、相手の眼の動きや変化を捉えることで感情や思考を推し量っています。それもやはり、ホモ・サピエンスから延々と続く性質です。他人のことを気にする人類は、言語だけでなく白目もつくり出したと考えられています。人類は、眼裂(がんれつ)を横に広げて黒目の左右に白目が見えるようになりました。これは人類固有の特徴です。

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