「客が置き去り」新規事業にありがちな3つの盲点 新規性があり適切に設計され、やりきれるか

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ビジネスモデルは、常に、戦い方(価値提供)、つまり、顧客の「困りごと」とその解決方法を意識し続けることが、成功するビジネスクリエイションの第一歩である。

2. 他と何が違うのか?

ビジネスモデルを検討する際に、次に躓きがちなのは「他と何が違うのか」、差別化の視点である。思いつくことは他の多くの人が思いついているということもあるし、そもそも差別化の視点が欠けているということもある。いずれにしても、何故他社ではなく自社が顧客に選ばれるのかという、差別化の視点がなければ持続可能なビジネスモデルが成立するのは不可能といっても良い。

近道は組織的な能力で差別化すること

差別化には色々なアプローチがあるが、近道は、ケイパビリティで差別化をする方法である。ネットスーパーの例でいうと、粗利を削って安く商品を提供するというのは、単純な価格での差別化である。一方で、中間流通を排除して商品を安く仕入れられるようなネットワークを築いた上で安く商品を提供するというのは、ケイパビリティの差別化である。

ケイパビリティとは、何かを実現する際の組織的な能力を指す。特定の機能の枠を超えた能力で、プロセス、ツール、スキルや行動様式、さらには組織体制により構成される。商品やサービスを模倣することは比較的簡単にできるが、ケイパビリティは複雑な要素で構成された組織能力であるために、マネをするのが難しいものである。

先の例で、差別化の源泉を求めるのであれば、安く仕入れられる仕組みを構築するケイパビリティによる差別化をすることでビジネスモデルが強固なものとなるのである。

3.ストーリーとして一貫性はあるか?

ビジネスモデル・クリエイションの最後の難関は、ビジネスモデルのすべての構成要素が一貫性をもったストーリーとなっているか、である。戦い方(価値提供)、ケイパビリティ、商品・サービス、定性、定量と考えていくとそれぞれの要素では説明になっているものの、全体で見たときに辻褄が合わなくなってしまうことがある。

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