「客が置き去り」新規事業にありがちな3つの盲点 新規性があり適切に設計され、やりきれるか

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しかし、ご安心あれ、ここにも対応策はある。

確かに、ビジネスモデルは精密機械のように多くの要素が複雑に絡まりあっている。ただ、ビジネスモデルは大きく3つの要素、戦い方(価値提供)、ケイパビリティ(組織的な能力)、商品・サービス体系 でくくって考えるとわかりやすくなる。

(出所)『PwC Strategy&のビジネスモデル・クリエイションー利益を生み出す戦略づくりの教科書』(中央経済社)

戦い方(価値提供)、ケイパビリティ、そして商品・サービスの3つが一貫性をもってお互いを支えあうときにビジネスモデルは利益を生むようになる。

顧客が置き去りにされていないか?

次にビジネスモデルを構築する際の3つの落とし穴と対応策をお伝えしよう。

1. このビジネスは誰のどのような困りごとを、どのように解決しようとしているのか?

ビジネスモデルを考えようとすると、とかく手元にある、できること、売れるモノ、あるいは、やるべきことに集中して、そこから考えがちである。その結果多くの場合、顧客が置き去りにされた、成功の可能性が低いビジネスモデルが検討されてしまう。

例えば、イギリスやアメリカに続けと、日本でネットスーパーの取り組みがはじまった頃のこと。配送は安価ながら配送料を設定して1日3回程度の時間帯、消費者は直接商品を受け取る必要があり、不在時は持ち帰りキャンセルとされることが多かった。つまり、ネットスーパーというビジネスが設計上課題の解決になりにくい状況であった。

では、このようなネットスーパーは誰のどのような困りごとを、どのように解決しようとしているのであろうか。買い回りをする時間のある世帯に対しては、価格面や配送料を上回る品揃えがなく、時間のない世帯に対しては、受け取りに問題があった。つまり、すでに広く支持されている従来型のスーパーマーケットと比較して戦い方(価値提供)が不明確だったのである。

最近では、より時間がない世帯向けに配送時間を細かく区切って、より豊富な品ぞろえを提供するネットスーパーが提供され始めている。これからは少しずつでも浸透していくことであろう。

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