岸田文雄首相が賃上げ促進へ優遇税制を拡充しても、企業の賃上げ機運は高まりそうにないとエコノミストはみている。
明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミストは、賃上げ税制自体はこれまでも実施しており、「今度こそ局面転換、というのは難しい」と指摘。企業の生産性向上につながるような成長戦略を強化しなくては、「一時的で限定的な効果にとどまる」と話した。「生産性が伸びて持続的に企業収益が伸びていくという展望が描ける世界にならない限り、企業はなかなか賃上げには踏み切らない」とも語った。
産経新聞によると、政府は法人税額から差し引ける控除率の最大値について、大企業で給与総額を前年度比4%増やした企業を対象に現在の20%から30%、中小企業では2.5%増やした場合に25%から40%に引き上げる方針。
岸田首相は2022年の春闘で3%を超える賃上げへの期待を表明した。連合はここ数年と同様に4%程度の賃上げを目指す一方、経団連は一律の賃上げを見送る方針を示している。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、春闘ではベースアップの幅が重要であり、「2%を明確に超えていかないとプラスにならない。それがないと所得増を実感できない」と語った。
原題:Japan’s Bigger Tax Breaks Seen Struggling to Spur 3% Pay Gains(抜粋)
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著者:野原良明
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