聞き上手が話し上手に劣ると思う人の大きな誤解 コミュニケーションに流暢な話し方は必要ない

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自分からアウトプットしていくのが苦手なら、無理してピッチャーになる必要はありません。

それより、

「飛んできたボール(話す人の言葉)に対して、いかにいい音を鳴らして受け取るか、そのボールをいかに他の塁に投げてゲーム(会話)を広げていくのか」

その技術を磨くことに集中すればいいのです。

いい発信者には、必ずと言っていいほど、いい受信者がいます。

逆を言えば、いい受信者がいるからこそ、発信者は安心して自分の話したいことを話すことができるのです。

古くから日本人には、自分の思いを一方的に発信する人は、単なるおしゃべりで底の浅い人と捉えられる文化がありました。

逆に言えば、人の話をしっかりと聞き、静かに受け止めることができる人を徳の高い人と捉える文化がありました。

「発信できる人がすごい人である」は思い込み

その特性を一概に否定し、欧米風の「自分の思いを発信できる人がすごい人である」という思い込みにしばられるのをやめて、「話をしっかりと受け止めることができる人に価値がある」という日本人本来の得意な部分を見直していきましょう。

『人は聞き方が9割』(すばる舎)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

柔道や茶道、合気道……。

日本には「道」がつく学びごとが数多くあります。

そしてこのほとんどの「道」の始まりは、まず「受け身」から始まる、という特性を持っています。

自分から発信するのではなく、まず相手の発信を受信することからすべてが始まります。
そういう面から考えても、日本人の「会話道」は聞き方から始まるのです。

永松 茂久 人財育成JAPAN代表取締役

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ながまつ しげひさ / Shigehisa Nagamatsu

大分県中津市生まれ。講演の累積動員数は延べ60万人にのぼる。3坪のたこ焼き屋からスタートし、現在は作家として活躍。自身の執筆だけではなく、次世代の著者育成、出版コンサルティング、経営コンサルティング、出版支援オフィス、講演、セミナーなど、数々の事業を展開する実業家でもある。『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』『リーダーは話し方が9割』『喜ばれる人になりなさい』(すばる舎)など著書多数。

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