韓国発「悪魔的なパン」が日本人を魅了する必然 単なるマリトッツォの後釜ではないマヌルパン
現在、マヌルパンの取り扱いがあるのは、いくつかの個人店のほか、ベーカリーチェーンでは、首都圏中心のサンジェルマン、ポンパドウル、三重県・愛知県で展開する513ベーカリーなどごくわずか。ブームの火付け役は、今年5~6月に期間限定販売を行った「俺のベーカリー」で、現在も12月31日までの限定で販売中だ。人気グルメインフルエンサーのウルフ氏とコラボして開発、「俺の罪悪パン」と命名したそのパンが話題を呼び、流行が始まっている。
「マリトッツォの次」として目をつけた
浅野氏が「いつもはトレンドに乗るのは遅め」と言うサンジェルマンが、いち早くマヌルパンを開発できたのは、「パンのトレンドとして大きく伸長したマリトッツォが下火になっていたとき、次のパンのトレンドとしてマヌルパンを見つけたため、販売する方向に舵を切った」(浅野氏)から。次のトレンドは何か、あらかじめ目を光らせていたのだ。
特に人気が高い客層も40~50代と、マリトッツォと似た傾向があるという。つまり、盛り上がる要因の1つは、マリトッツォで流行のパンを試す楽しみを知った人たちが、「次の流行は何か」と探していたことではないだろうか。そこへマヌルパンが話題となり、さっそく試してみたというわけだ。
どちらも外国発祥のパンだが、菓子パン・総菜パン好きの日本人の好みに合い人気に火が付いた。実は外国発、というところが流行のポイントだと考えられる。
ブリオッシュに大量の生クリームを挟む、というマリトッツォの発想は、ありそうなのにあまりなかった。紹介されるや否や流行したのは、明らかに日本人が好きなタイプのパンだったからである。
まず、ふわふわの柔らかいパンを愛する人が多い。定番のイチゴのショートケーキや、10年ほど前に一世を風靡した一巻きロールのロールケーキなど、たっぷりの生クリームを使ったスイーツも好きな人が多い。日本人好みの組み合わせが大ヒットし、今や日本各地のパン屋、カフェその他でさまざまなアレンジマリトッツォが販売されるに至っている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら