中国で「外資系ブランド」が岐路に立たされる訳 成長鈍化の中国・自動車市場で生き残るには?

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現在、マツダは中国で6車種を投入している。長安マツダ(年間生産能力22万台)では「MAZDA3」など4車種を生産しており、第一汽車は「MAZDA6」「CX-4」を生産中だ。中でも2004年に生産開始したMAZDA6が2009年にモデルチェンジしたことから、一汽マツダは5年の間に1車種のみの販売で事業を維持し続けていた。

上記、中国2拠点のアンバランスにより、マツダは一汽マツダ(中国一汽との合弁)を長安マツダ(長安汽車との合弁)の傘下に置いて中国事業の再編を行う一方、長安マツダに出資した中国一汽を加えて、3社合弁の新長安マツダを立ち上げた。

今後、マツダが中国事業を長安マツダに集中させることにより、再び成長の軌道に乗せることができるかが引き続き注目される。

高級車ブランドの値下げでさらなる混戦が必須

中国新車市場は、消費志向の変化によりメーカー間の競争が一層激しくなり、業界再編が一段と加速すると予測する。

現在、市場はドイツ系高級車ブランド、日米欧系大衆車ブランド、地場低価格車ブランドの三つ巴の状況となっているが、BMW、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)、アウディのドイツ系3社は、2022年に合算300万台超の生産能力を形成すると同時に、値下げによって大衆車ブランドの購入層をハイエンドブランドに取り込もうとしている。

一方、トヨタ、GM(ゼネラルモーターズ)、フォルクスワーゲンなどの日米欧系大衆車ブランドは、生産能力の拡張や現地調達の拡大によって一層のコスト削減を進めながら、市場地位を守る姿勢を示している。

低価格車の収益率が低下傾向にある中で、逆に吉利汽車(ジーリー)、長城汽車(グレートウォール)などの地場メーカーはこうした状況を打開するため、相次いで高級車を投入している。

長城汽車の高級車ブランドWEYの「モカ」(筆者撮影)

そのような中で、現代、PSA、フォード、三菱自、マツダなど外資系のセカンドブランドは、技術力や製品力で大手ブランドとの厳しい戦いを強いられながら、同時に価格で地場ブランドとの競争に直面している。

かつては中国で脚光を浴びていたこうした外資系ブランドは今後、“ニッチな外資系ブランド”とのレッテルを張られない、独自戦略の展開が必須となるだろう。すでに乗用車事業から撤退した日本のスズキやフランス・DSの轍を踏まないよう、各社が懸命に新規需要の取り込みを図っている。

外資系自動車メーカーがいかに差別化を実現し、次世代自動車市場で足場を固めるかが引き続き注目される。

※論考は個人的見解で、所属とは無関係です。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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