パウエルFRB議長は今後「豹変」するかもしれない

再任されたことで「ハト派」ではなくなるかも

この点では、前ミネアポリス連銀総裁のナラヤナ・コチャラコタ氏がブルームバーグに興味深いコラムを寄稿していたので紹介したい。

6日に掲載されたコラムでは、同氏はFRBが金融政策を決定する際には、政治的思惑は抜きにし、経済にとって何が最善であるかにのみ焦点を絞ることになっているが、ここへきてアメリカの金融当局がこの独立性から外れつつあるのではないかとの懸念を示していた。

具体的には「ますますインフレ圧力が強まっているのに、FRBはなぜこれほどまでに行動をためらうのか」と、早期利上げに言及しないパウエル議長の姿勢を辛辣に批判していた。

雇用の最大化というFRBのもう1つの債務を果たすために高インフレを容認していると考えることもできるが、失業率は歴史的な低水準にあり、この説明は説得力に欠ける。雇用が問題でないのだとすれば、ほかに考えられるのが政治的な理由によるものだとしている。

パウエル氏が再任を望むのであれば、緩和的な金融政策を維持することで、バイデン大統領や民主党の左派勢力の顔色をうかがうのが自然かもしれないと結論づけている。

「政治的な思惑」というのは、もちろんコチャラコタ氏の憶測にすぎないし、同氏もそうでないことを願っていると締めくくっているが、ここまで執拗に早期利上げの可能性を否定し続けるパウエル議長の姿勢を見ていると、あながち外れていないのでは、と思ってしまう。

何よりも、ミネアポリス連銀総裁時代にはバリバリのハト派として知られていた同氏が、パウエル議長のハト派的な政策をここまで批判しているということ自体が、足元のインフレの深刻さを物語っているといっても過言ではない。

今後パウエル議長は「タカ派」になる可能性も?

最後に、めでたく再任されたパウエル議長が、今後どのような方針を打ち出すのかを占ってみたい。

もし「再任されたい」との理由から積極的な金融緩和姿勢を打ち出していたのだとすれば、今後4年間の身分が保証されたあとに態度を一変、タカ派的な方針を打ち出す可能性も十分にありうる。年明け以降、さらに物価上昇が進めば、むやみに緩和策を継続しインフレをこじらせたFRB議長として、後世に渡って汚名を残すことにもなりかねず、それは避けたいだろう。

足元の経済状況を見るかぎり、タカ派への方針転換を説明する理由は、いくらでも作りだすことができるのだから。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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