朝ドラのヒロインに「お転婆娘」が多い納得理由 関係者取材でわかった「意外な3つのあるある」

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「半年にわたって放送される朝ドラのヒロインは、真面目でスキのない人物では愛されなく、少しドジで思い切りのいい、ムチャをする人物として描いたほうがいいということはあります。そのため、ヒロインのキャラクターを紹介する物語の序盤で、少しムチャをして痛い目に遭うシーンを用意し、どこか憎めない、お転婆キャラを演出しているのは確かでしょうね」

法則3:第二・第三の男が人気を博す!

朝ドラは、2010年3月スタートの第82作『ゲゲゲの女房』から、放送開始時間をそれまでの午前8時15分から15分早め、午前8時ちょうどスタートとなりました。

それと相前後して採用されたのが、朝ドラの“複数イケメン制”です。これは、後にヒロインの伴侶となる男性以外に、心をときめかせる人物(当然の如くイケメン)を複数配置するという制度(?)。

役どころとしては、仕事上のパートナーであったり、ヒロインを公私で支える人物だったりが多いですね。半年の間、ほぼ毎朝放送される長丁場の朝ドラにあっては、飽きずに見せていくためにも、イケメンの複数化は2010年代に入ってますます必然になったのでしょう。そして、これによって人気を博すことになったのは、実は第二・第三のイケメンのほうなのです。

その火付け役となったのは、2011年10月スタートの第85作『カーネーション』に登場した周防龍一(綾野剛)。妻子ある紳士服職人で、ヒロインの糸子(尾野真千子)の洋装店で働くことになり、糸子は彼に秘かに恋心を抱いて……という設定でした。実はこの周防さん、わずか2週間ほどの出演だったのですが、人気が沸騰。先述の特番『朝ドラ100作』でも、朝ドラ史上忘れられないキャラとして堂々ベスト5入りしています。

「イケメン俳優」が増えたのは、綾野剛さんが火付け役でした(取材:Rommel Demano/Getty)

また『あさが来た』に登場した五代才助(ディーン・フジオカ)も。

偶然出会ったヒロインのあさ(波瑠)に好意を抱き、事業に奮闘する彼女へ様々な助言を与えた人物でした。この役によって、ディーン・フジオカは一躍人気を博し、大出世作に。そして今年の大河ドラマ『青天を衝け』で再び五代役を演じることにも繋がっています。

このほか、『あまちゃん』の福士蒼汰、松田龍平、第95作『べっぴんさん』の松下優也、高良健吾、第97作『わろてんか』の高橋一生、『半分、青い。』の中村倫也、志尊淳、間宮祥太朗、『おかえりモネ』の永瀬廉などなど、第二・第三の男たちが人気を獲得する例はたくさんありますよね。

これについて我が日藝の教授陣は、ヒロインにとって夫や恋人という制約から解き放たれた位置にいる男たちのほうが生き生きと見えるという心理が働くからではと指摘されていました。マァ実際、不倫のはじまりって、そういうことかもしれませんしね(笑)。

以上、今回は3つの“朝ドラの法則”を検証させていただきました。また機会がございましたら、さらなる法則について掘り下げてまいりたいと思います。

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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