「第3の歴史決議」で見えた習近平の権力と脆弱性 「中国の特色ある社会主義」とは共産党一党独裁

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要するに共産党だけが支配する政治体制が「中国の特色ある社会主義」ということなのだ。その目標である「中華民族の偉大なる復興」とは、軍事的にも経済的にもアメリカに匹敵する、あるいはアメリカを上回る国家の建設ということだ。このあたりは特に目新しいものではなく、習近平氏がこれまでも繰り返し主張してきたことだ。

経済や軍事についての具体的な政策的目標の数値などは一切、登場しない。つまりこの決議文はあくまでも政治的文書であって、国民に対し政策を提示した文書ではないのである。その結果、習近平氏がどういう社会を目指しているのかが余計にわかりにくくなっているのだ。

そして、決議文は中国社会の将来像を示す代わりに、党への服従を国民に強く求めている。

鄧小平は分権を進め、習近平は自らへ権力を集中

「党中央による集中的・統一的指導は党の指導の最高原則であり、それを強化・擁護することは全党共通の政治責任」
「党の指導を堅持するには、全党の中央への服従を確保しなければならない」
「個人主義・分散主義・自由主義・自己本位主義・事なかれ主義などを防ぎ、それに反対する」
「面従腹背する者を一掃し、全党が政治的立場、政治的方向、政治的原則、政治的道筋において党中央と高度の一致を保つ」

毛沢東への権力集中への反省から、鄧小平は形式的な面もあったものの、権力集中を改め集団指導体制を取り入れるなど、政府と党の役割分担を明確にする分権を進めた。しかし、習近平氏はその逆を突き進んでいる。

2017年の党大会で習近平氏は「党政軍民学、東西南北中、党はすべてを領導する」と発言して大きな話題になった。その後、習近平氏は強力にそれを実践し、党への権力集中、習近平氏への権力集中を徹底的に進めた。今回の決議文は党や習近平氏への権力集中をさらに進めようという姿勢が明確に出ている。

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