建設会社グループが「野球リーグ運営」に挑む事情 「日本海オセアンリーグ」が独立リーグに新風

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そしてリーグ戦がない日には、NPBファームや四国アイランドリーグPlusなどとの交流戦を積極的に組んでいく。さらに、プロアマの壁を破ることができるなら、大学、高校野球とも組むことを考えたいとのことだ。

第2に、選手の待遇を上げる。独立リーグの月給は多くて10万円程度、しかもシーズン期間だけで、多くの選手はシーズン中もアルバイトをしている。リーグ側もアルバイトを公認しているが、厳しい衣食住の中で辛うじて野球を続けているのが実情だ。しかし新リーグは報酬対価の底上げを実施すると発表。安心して野球ができる環境を提供する。

最近の独立リーグは、徳島インディゴソックスや栃木ゴールデンブレーブス、さらには今年できた火の国サラマンダーズなどの球団が、優秀な選手を積極的にスカウトするため、有望選手の取り合いが起こっていた。新規球団はその点で不利になりがちだが、「報酬の底上げ」は魅力的な条件ではあろう。

さらに、引退する選手にスポンサー企業をセカンドキャリアとして積極的に紹介する。実は独立リーグは「野球をやめる」「あきらめる」選手の処遇もポイントだ。すでに香川オリーブガイナーズのように、スポンサー企業に引退を表明した人材を紹介する企業も出てきている。

コロナ禍が明ければ、とくに地域で20代の若い人材を獲得するのが厳しくなる。独立リーグ球団は、セカンドキャリアの問題も重要なポイントなのだ。

新リーグの試合を動画配信

オリジナルユニホームを着た選手によるトライアウト(写真:筆者撮影)

そして、新リーグでは試合を動画配信する。独立球団の中には、コロナ禍によって集客ができなくなり、やむにやまれずYouTubeなどで配信を始めたところも多いが、予想外の反響に驚いていると話す経営者も多い。しかしこれまでは各球団がばらばらにやっていたため、新リーグでは品質の高い中継映像を一体となって配信するという。

11月3日には富山県で4球団合同のトライアウトが行われた。会場には福井球団の会長兼GMに就任した前オリックス・バファローズ監督の西村徳文氏も姿を見せた。81人(投手37人、捕手11人、内野手14人、外野手19人)の選手が参加したトライアウトでは、4球団の指導者、関係者が熱心に選手の評価をしていた。

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