日本が警戒すべき中国「軍民融合」知られざる怖さ 民間カーフェリーをいつでも強襲上陸に使える

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軍事目的の利用については昨年来、アメリカ海軍大学のケネディ研究員が、中国国内の報道やAIS航跡データ、商用衛星画像等を詳細に分析して以下のような軍民融合の実態を公表している。

例えば2014年、東シナ海において、横、あるいは縦に並んで航行しながら、タンカーからフリゲート艦に燃料を給油する訓練が行われた。

次いで、2019年には、洋上において横に並んで航走しながらコンテナ船から駆逐艦や補給艦にコンテナなどの貨物を移送する試験が行われた。また2020年に行われた民間企業等を動員した大規模な統合軍事演習では、普段はカーフェリーとして利用されているRo-Ro船が、車両搭載用ランプ(傾斜路)を強襲上陸作戦用に改造されて参加していた。

そもそもタンカーであれ、コンテナ船であれ、Ro-Ro船であれ、商業目的に用いられる船舶は、できる限り大量の物資や車両、燃料などを積載して、仕出し港から仕向け港にできるだけ早く、安全かつ経済的にそれらの荷物を届けることにより利益を上げることを目的とするものだ。

本来、そのような目的に合致しない洋上で貨物や燃料を移送する装置などを設置することは、設置に必要な区画や重量の分だけ積載可能な貨物の量が減るばかりか、船自体の重量を増加させ、速力や燃料効率に影響を及ぼすなど経済コストは悪化する。

とくに、Ro-Ro船の車両搭載用ランプの改造については、そのランプを水面下まで下げることにより、水陸両用車両や舟艇を船内から洋上に、あるいは洋上から船内に積み下ろしできるようにしている。一般的なランプとは強度や重量など構造が大きく異なるものである。

漁船についても同じ取り組みをしている

このような取り組みは、漁船についても同様だ。外洋で操業する漁船が新造される場合には、「海上民兵」として必要な武器庫と弾薬庫を設置することが一部の地方政府の条例により義務づけられていることも明らかにされている。

ただし、こうした増設や改造といった物理的な負担は、予算さえ確保できればいかようにもなるが、日々の整備は単純に船の乗組員の負担となる。軍事目的であれ商業用目的であれ、乗組員などオペレーターにとって最も重要なことは、つねに能力を100%発揮できる状態を維持するための日々の整備である。

普段は使用しないにもかかわらず、いつでも動員に応じられるように常日頃から操作訓練を行い、整備し、状態を維持しておくことは、乗組員にとって相当な負担増である。当然、そうした政権の施策に対して、資金や資源、時間を費やすことに熱心でない企業が多いこともケネディ氏は指摘している。

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