自動車評論家がトラックで見た「砂漠の空」の衝撃 旅先で見てきた脳裏に今も過ぎる思い出の空

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バハ・カリフォルニアでは「1000マイル・レース」に出場したこともあるが、マシントラブルで途中リタイヤ。砂漠から脱出するのに3日以上かかったように記憶している。

その間毎日、朝焼け、夕焼け、星空を眺めていたのだが、おかげで気持ちを落ち着かせることができた。いや、楽しんでいたといった方が合っているかもしれない。

砂漠から脱出。LAに戻った後のことだが、「こんな贅沢な時の過ごし方って、誰にでもできるものじゃない。ほんとうにラッキーだったな!」とさえ思ったものだ。

エジプトで見た星空も忘れがたい

ピラミッドとスフィンクスを観た日の夜、ナイル河に浮かぶボートホテルから見上げた星空も忘れ難い。古代エジプトの王たちも、こんな星空を見上げながら祈りを捧げていたんだろうな……などと、想いは際限なく拡がっていった。

「ロンドン――シドニー 3万キロラリー」の際に通ったアフガニスタンとパキスタンを結ぶカイバル峠で見た星空も忘れられない。

闇の中を複雑にうねるカイバル峠。この要衝には1km置きくらいだっただろうか、軽機関銃を手にした兵士が立っていた。

ラリー車が通過するのは予め通知されていたはずなので、われわれは難なく通り抜けられた。でも、一般車両だったら、停められ調べられるのだろう。

険しく真っ暗な峠道で、ヘッドライトの灯りに銃を持った兵士が突然浮かび上がる……という状況はほんとうに怖かった。

でも……ときどき山間が開けて、闇の中に星空が広がったときの美しさには心を奪われた。キラキラ光る星は薄汚れたフロントウィンドゥ越しでもハッキリ見えた。張り詰めた緊張感をほんのひとときだが和らげてもくれた。

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