日経平均が3万円手前でグズグズしている理由 市場が恐れているのはインフレ懸念だろうか

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また、岸田首相は成長と分配については、はっきりと「成長が先だ」と言明している。しかし市場は信じていない。順番は信じても、その時間軸は信じていない。「経済刺激策もせいぜい1年で、どうせすぐにも増税政策が出てくるだろう」と思っている。

市場は政権の「分配までの時間軸」を短くとらえすぎ

だが、これは市場側の大きな間違いだ。唐突だが、隣国の中国では11日に中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が閉幕。「歴史決議」が採択され、コミュニケが出た。

その中に成長と分配の時間軸が表されていると筆者には感じる。習近平時代の前に位置する「鄧小平時代」だ。

1978年に鄧小平氏は「改革開放」政策を打ち出し、「中国人は富める者から富め」と号令した。そしてこれが中国奇跡の成長の源となり、人類史上最も「優れた資本主義」を「共産党」が達成したと揶揄されながらも、世界最強のアメリカ経済を射程内にとらえる位置にまで成長した。

そして今、中国は習近平国家主席が唱える「共同富裕」という分配の時代に入ろうとしている。これが成長と分配の時間軸ではないか。

つまり中国は43年かけて成長して、今、分配の時代に入ろうとしていると筆者は考える。もちろん、日本のような先進国型経済の中では、成長と分配の時間軸が43年とはいわないが、1年や2年で成長を止め、分配に入ることなどありえない。欧米中央銀行のテーパリング(金融緩和の縮小)や利上げ論に惑わされ、今の日本市場は時間軸を間違っていると強く感じる。

さて、最後に今週の材料を挙げておこう。まず15日には日本の7~9月期GDP(国内総生産)が発表される。マイナス成長が予想されるが、10月以降は大きく持ち直していると思われ、10~12月期は年率換算で5%台の成長もありそうだ。

また、中国10月の鉱工業生産は、前年同月比3.1%と失速した9月から立ち直れるか。同10月の小売売上高は、前年同月比4.4%と上向いた9月の傾向が続くと期待する。さらに、16日のアメリカ10月の小売売上高、10月鉱工業生産に注目したい。

最新の財務省統計(11月11日発表)によれば、外国人の週単位の買い越し額は約1470億円となり、5週連続の買い越しとなった。5週間合計の買い越し額は2兆円台後半になり、「外国人は11月・12月買い越し」のアノマリーは今年もありそうだ。成長の時間軸をしっかりとらえていきたい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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