「根回しがヘタな人」がわかっていない5つのコツ 正しい提案しても通らないのは上がバカではない

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注意したいのは、最終決裁者がサラリーマン的な調整型リーダーの場合です。その際、リーダーが誰の顔色をうかがっているのかを把握しておきます。意思決定の際、その人を賛成派として引き入れておかないと、ひっくり返されるリスクがあるからです。

もちろん、社内においても社外においても、意思決定者に近い人を押さえたほうが効果的ではあります。ただ、社内なら上司の上司、社外なら担当者の会社の社長や上司などにアプローチする時は、注意が必要です。トップアプローチは諸刃の剣になるからです。

考えてみてください。上司や担当者をすっ飛ばして上にアプローチし、トップダウンで事案が下りたら、上司や担当者の面子は丸つぶれでしょう。その結果、せっかく案件が通っても協力が得られない恐れもあります。無益な戦いは避けるのが一番。「戦」いを「略」すことが戦略です。

この場合のコツは、上司や担当者と一緒になって「意思決定者を味方にするにはどうしたらいいか」を考えることです。彼らを一緒にゲームをクリアする仲間に巻き込むのです。
仕事相手の面子を潰すような真似だけはしないことです。30代も中盤を過ぎると、面子が何よりも大事な人が増えてくるもの。それを潰してしまうと、進むものも進まなくなります。そんなケースをこれまで私も何度も見てきました。

根回しは分子と分母がある

根回しは、上だけでは不十分です。足元をすくわれる恐れがあるからです。

根回しは「分数」のようなものだと考えてください。「分子」と「分母」、それぞれの根回しが必要になるのです。

「分子の根回し」とは、先ほどご説明した「上への根回し」です。一方、「分母の根回し」とは、「現場への根回し」です。

分子が承認を得るために必要な交渉部隊だとしたら、分母は承認を得たプロジェクトをスムーズに進めるための「実行部隊」。双方に味方を増やしておくことで、よりスピーディに結果を出すことが可能になります。

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