「本田圭佑だけじゃない」J選手が起業する深い訳 北海道でワイン事業や一般社団法人設立…

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「熊本には今年、プロ契約で移籍してきたのですが、クラブには『選手営業』を自ら申し出て、年俸を越える営業成績を叩き出すべく活動しています。練習後にはスポンサー回りに出向いて支援を取り付けるのは当たり前。もともと3000円の席にファンとの交流や地元農家生産品を使ったアスリート弁当などの付加価値をつけた『浅川シート』も11席限定・1万1000円で販売。いろんな角度からアプローチして、すでに年俸越えの売り上げを達成しました」と浅川は笑顔を見せる。

サッカーをするだけではない「付加価値」

彼のアクションはこれだけにとどまらない。今年8月末には「一般社団法人Ultras」を発足。選手・メーカー・ファンがプラスの関係性を保てるような構図を具現化したのである。

スパイクを手にする浅川隼人(写真:本人提供)

「サッカー選手にとってスパイクは必須アイテムですが、プロの世界だとメーカーとの契約で提供されるケースが多い。でもその提供に見合った価値を選手側は還元できていないのが現実です。

そこでファンにスパイクを2足買ってもらい、1カ月間その選手が試合・練習で履いて、1足はサイン入りでファンに戻すという形を取れば、メーカーは確実な販売に直結し、選手も世界に1つしかないスパイクを大事にし、ファンも目に見える応援ができるという三位一体の関係が築ける。そう考えてスタートさせました」

現時点では元日本代表の橋本英郎(FC今治)ら10人の選手が参加。JFLや海外所属選手のほうが引き合いが強いという。都倉も言うように、これからのアスリートは「ビッグクラブ所属」「サッカーだけに邁進している」だけでは支援者は増えないのかもしれない。

本田や長友のような日本代表や海外強豪クラブ経験者というトップ・オブ・トップはほんの一握り。1600人超のJリーガーは積極的に自己発信を行ったり、ビジネスを起こしてクラブやサッカー界に還元するような「付加価値」を見出していかなければ、生き残っていけない可能性もある。

都倉や浅川のように、空いた時間を有効活用して、セカンドキャリアを視野に入れた活動をしていく選手はどんどん増えていきそうだ。彼らがピッチ上で培ったフィジカル・メンタル的な力は確実に別のフィールドでも生かせるはず。そういう前向きな面々をぜひとも応援したいものだ。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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