トランプ前大統領が準備する合法的クーデター 中間選挙まであと1年、法の抜け穴を巧みに突く

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トランプ支持者は2020年大統領選以降、「(民主党に)盗まれることを阻止せよ(Stop the Steal)」キャンペーンを展開し、バイデン大統領は不正に当選したと主張してきた。だが、2024年大統領選ではバイデン大統領あるいは他の民主党候補が正当に当選したとしても、合法的にトランプ氏の当選に差し替え、当選を「盗む」可能性が民主党支持者の間で懸念され始めた。

さらにはトランプ氏が仮に2025年に大統領に就任した場合の政権運営について、すでに不安が語られている。トランプ氏が同氏を支持する司法省幹部を指名し上院が共和党多数派で承認すれば、法の執行は政治的影響を免れなくなる。その結果、2016~2020年の政権1期目にはトランプ氏を抑える防波堤として、ある程度機能した法の執行が2期目では機能しなくなって、法治主義が崩壊する恐れがあるというわけだ。

ネットを駆使して国民をあおり、三権分立を壊す

「歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏む」。『トム・ソーヤーの冒険』の著者として知られるマーク・トウェイン氏が語ったともされる格言だ。今日のアメリカは約1世紀前のドイツにおけるヒトラー登場に伴う民主主義崩壊とさえ比較されることが多い。

だが、わずか14年しか持たなかったドイツのワイマール共和国ではなく、約500年続いたローマ帝国と比較するほうがより適切かもしれない。現在、アメリカは建国から約250年とローマ帝国の中間地点で民主主義が維持された「パクス・ロマーナ」期間の終わりにある。

建国の父たちはローマ帝国を研究し、多くの仕組みを取り入れ、その崩壊も学んだ。だが、建国の父たちの誰もが想像しなかったのは、ネット社会による大統領の国民への影響力拡大、そして二極化社会が三権分立をも台無しとするような新たな現象だ。トランプ大統領は党派対立が強まる中、連邦議会や州政府に圧力をかけ、法の盲点をついて、立法権や司法権が行政権をチェックすることができない事態を引き起こそうとしている。

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