30歳でひきこもり脱却の男性が抱える生きづらさ 品出し早朝バイトは「もっと早くやっておけば」
中高年のひきこもりが社会問題となっている。長いひきこもり期間を経験しても、周りのサポートなどにより、再び外で働き始めることができるケースはある。就労は大きな一歩だが、それがゴールというわけではない。
問題は、それを継続できるかどうか。社会生活に復帰して数カ月がたち、不安や悩みを抱えながら日々を送る吉野亮介さん(仮名、31歳)を取材した。
亮介さんの1日は朝3時に始まる
夜明け前、亮介さんは寝ている家族を起こさないようにそっと身支度をして、台所でバナナを1本食べて家を出た。外はまだ暗い。自転車にまたがると、ペダルを無心でこぐ。暑い日は汗が噴き出ることもあるが、人気のない道を走るのは快適だ。
亮介さんは朝3時に起き、4時には家を出るのが日課だ。アルバイト先のドラッグストアには自転車で片道約1時間。始発前だから仕方のない移動手段ともいえるが、電車に乗ることに不安がある亮介さんにとっては、自転車通勤も苦にならない。
仕事は、朝5時すぎから10時までの「品出し」。働き始めてもうすぐ4カ月になる。これまで、遅刻や欠勤は1日もないという。早朝の通勤も含めて楽ではない仕事だ。
「大したことじゃないですよ。これくらいのことだったら、もっと早くやっておけばよかった。逆に後悔の気持ちが止まらなくて、キツイときもあります」
亮介さんは、「ひきこもり経験者」だ。