英国に登場、日立製「格安高速列車」初日乗車ルポ 日立製車両で運行、サービス充実だが課題も
ルモは、2016年にファーストグループに付与された「オープンアクセス」での運行許可により運営されている。
イギリスの鉄道は旧国鉄の民営化後、線路や信号、駅などのインフラ保有・管理と列車の運行を別々の組織が担う「上下分離」方式を採用している。インフラ保有・管理はネットワーク・レール(Network Rail)という運輸省傘下の組織が担い、列車運行はTOC(列車運行会社=Train Operating Company)と呼ばれる民間企業が行っている。
基本的な運営システムは「フランチャイズ制度」だ。フランチャイズとは、運輸省が路線や地域ごとに設定する運営権で、競争入札によってこの権限を獲得したTOCが、入札時に提示した条件に沿ってダイヤや運賃を設定して運行し、TOCはネットワーク・レールなどに施設使用料を支払うという形だ。採算性が高い路線の場合は運輸省に「プレミアム」を支払うが、逆に不採算路線は補助金が出る。
これに対し、ルモのようなオープンアクセスオペレーターは、ネットワーク・レールから列車の運行枠を買い取って運営する。運賃設定を自由にできる一方、政府の補助金は受けられない。
初日の切符は発売開始日に完売
ルモは9月7日にチケット販売が始まるやいなや、イギリスのマスコミがこぞって「ロンドンからスコットランドまで14ポンド(約2200円)台から!」と報じたこともあり、週末便を中心に瞬く間に完売。最安値を片道19.99ポンド(約3150円)に設定した運行初日のチケットは、発売開始日の午後には売り切れた。
その後の運行便についても売れ行きは上々で、
今後は最高額を69ポンド(約1万870円)とする予定だ。これでも競合するLNERが打ち出しているロンドン―エディンバラ間の前売り片道運賃約80ポンド(約1万2600円)と比べれば割安感があるが、「格安」とはいいがたい。
ファーストグループは、2022年には運行本数を最大で1日5往復まで増やしたい意向だ。本数が増えれば格安枠も増えると思われるが、新しいものに飛びつく人々も多い中で「格安列車のきっぷが高いのに売れる」という珍現象がしばらくは続くかもしれない。
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