だが、そこからも苦労の連続だった。リコピンの健康効果を訴求しようにも、「カゴメ製品は健康・肌に良い」という直接的な宣伝は、現地の「薬事法」で禁止されているのだった。
そこで同社が行ったのは、「2段階プロモーション」だ。まずは、カゴメの名前はまったく出さずに、「リコピン=健康に良い」というTVCMを打った(企業名は出さないので法律上もセーフである)。
その後、「カゴメ製品には、リコピンが入っている」というCMを打ったのだ。
これによって、間接的に、「カゴメ=リコピン」+「リコピン=健康に良い」 ⇒「カゴメ=健康に良い」
という図式を成り立たせたのである。
しかも、なんと、カゴメの最初の製品名を、「カゴメ トマトジュース」でも、「カゴメ 野菜生活」でもなく、「カゴメ リコピン」にしたのだ。これにより、カゴメ製品の「美容健康効果」という価値を、明確に訴求できたのだ。
もちろん、良い製品ができても、流通を押さえない限りは、消費者の棚に届かない。タイでは、パートナー企業の力も借りながら、現地のコンビニ最大手、セブン-イレブンの棚に置いてもらうよう、努力を重ねた。
その結果、生産はOEMとして合弁企業に任せ、カゴメとしては、現地拠点はわずか数名の体制で、タイ全土のセブン-イレブンに並べるという快挙を成し遂げたのだ。
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