カシオが放った新型デジカメの斬新利用術 "分離型"でカメラの新境地を切り開く
「カシオがデジタルカメラを初めて発売してから20年。今ではデジカメでできることは多様化し、スマートフォンでも写真を撮ることができるようになった。にもかかわらず、"構えて撮る(スタイル)"は変わらなかった。その常識から撮影者を解き放つ」。8月26日、カシオ計算機の新型コンパクトデジタルカメラ「EX-FR10」発表会で、同社の中山仁執行役員はこう自信を見せた。
9月19日に発売するEX-FR10は、有効画素数1400万画素、レンズはF2.8単焦点レンズで、店頭価格は5万円程度を想定している。スペックだけで言うと平凡なコンデジだが、同製品は普通のデジカメと根本的に違う点がある。通常は一体となっているカメラ本体と液晶画面を切り離すことができるのだ。
これまでになかった撮影が可能に
それぞれの大きさは、カメラ本体が直径約6センチメートルで重さ63グラム。液晶付きコントローラは約5センチメートル×約8センチメートルで80グラム。双方は無線で接続されており、これまでの通り本体のシャッターを直接押すほか、コントローラを使って遠隔操作ができる。これにより「構えて、ファインダーや液晶をのぞいて撮影ボタンを押す」という動作をしないですむため、従来できなかった撮影方法が可能になる。
たとえば、従来のデジカメやスマホでは撮影できなかったアングルから「自分撮り」ができるようになるほか、自転車やバッグなどに取り付けて、移動しながら画像や動画を撮影するといった利用も考えられる。また、撮影した中からEX-FR10がおすすめ画像を選んで、アルバムを作ってくれる機能もついている。SNSの普及を背景に「自分撮り」ニーズが高まる中、スマホではできない機能を盛り込むことでスマホとの差別化を図っている。
この奇抜とも言えるカメラを発表した背景には、過去の成功体験がある。開発に高度な技術を要する一眼レフに比べて、コンデジは早くからコモディティ化が進み、カシオのカメラ事業も2009年に110億円の赤字に陥って以来、慢性的な赤字に。撤退もやむなしか、と言われていた同社のカメラ事業を救ったのが、11年に発売された「EX-TR100」だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら