グーグル新型スマホ「独自AI半導体」が示す大進化 AIをフル活用し写真加工や翻訳の機能が向上

拡大
縮小

ピクセル6シリーズではテンサーを搭載したことで、さまざまな新機能を実現した。音声認識とタイピングを組み合わせた入力を可能にしたほか、LINEなどのチャットアプリにおける異なる言語話者同士のやりとりがリアルタイムに翻訳できるようになった。

さらにグーグルのレコーダーアプリでは英語のほか、日本語やフランス語、ドイツ語の文字起こしに対応。ブラウザやSNSなどで再生される動画の日本語字幕や他言語からの翻訳字幕機能(ベータ版)もピクセル6で初めて提供される。

チップの「統合」で無駄を排除

カメラでは、ブレている顔をくっきりとさせる「顔フォーカス」、写真に写り込んでしまった人物などを取り除く「消しゴムマジック」、長時間露光したような写真を撮影できる「モーションモード」など、多くの新機能を搭載している。一部の機能は以前のピクセルでもアップデート後に利用できるが、「モーションモードはテンサーがなければ機能しない。ほかの機能も処理速度は格段に早い」(プロダクトマネジャーのシェナズ・ザック氏)という。

元の写真(左)から「消しゴムマジック」を使って加工した写真(右)(写真:Google)

これまでのピクセルは一貫してアメリカの半導体大手クアルコムのスマホCPU(中央演算処理装置)である「スナップドラゴン」を採用してきた。グーグルはこのCPUの処理を補助するため、画像処理やセキュリティの専用チップを搭載していた。

だがテンサーではCPUのほか、画像処理やセキュリティのチップ、そしてグーグルのデータセンターで活用されているAIチップ「TPU(テンサー・プロセッシング・ユニット)」を統合した。すべてが自社開発品だ。

これまでは専用チップでソフトウェアのアルゴリズムを作動させ、処理したデータをいちいちCPUに戻していた。テンサーではこの行き来がなくなり高速な処理が可能になったうえ、バッテリーの電力消費も抑えることができるようになったという。

次ページ野望はピクセルのほかにも
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT