星野リゾート代表「GoTo盛り上げ過ぎぬ方がいい」 厳しい都市部ホテルはどうすれば復活できる?

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――都市部は観光の目的となるイベントなどが復活できず、各ホテルの宿泊価格は大幅に下落。それでも稼働率は本格回復に至りません。Go Toの押し上げ効果は発揮されるのでしょうか。

大都市圏が厳しい理由は、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどテーマパークの入場制限をはじめ、スポーツや音楽フェスティバルなどの大規模なイベント、映画館などの制限が宿泊需要にダイレクトに響いてしまっているからだ。ビジネスホテルも観光目的の利用は多い。

もしかすると、これらの制限の緩和のほうがGo Toより大事かもしれない。緩和したうえでGo Toを再開すれば、効果はさらに出てくる。そうでなければ、また温泉地ばかりが恩恵を受けることになってしまう。

「日本シリーズを満員にできないか」

アメリカ・メジャーリーグの中継を見ていると、観客はマスクをせず満員で盛り上がっている。違う世界を見ているようだ。日本はアメリカのワクチン接種率を上回っているが、ここまで踏み切れていない。

11月には日本シリーズがある。仮にだが、現在各リーグ首位のヤクルトとオリックスの対決になると、大阪と東京を行き来するゲームになる。マスクをしつつも、どうにか観客を満員にできないだろうか。そうすれば、ビジネスホテルなどにも恩恵がある。日本シリーズまでに各施設や大規模イベントの制限を緩和して、ぜひ満員で盛り上がれるようにしてもらいたい。

ウェブ説明会にて、星野代表はインバウンドについては急速に回復せず、徐々に回復していく見通しを示した

――ホテル各社はワーケーションに力を入れますが、需要を大幅に下支えする動きにはなっていません。

閑散期を埋めるという意味で、とくに大事だと思っている。消費者側ではニーズは広がっている感覚がある。ただ、会社側の問題がある。ワーケーション中にもし過労死が起これば、責任問題だ。労働の実態を把握するために、「出社してください」となる。

今はビデオ会議のツールも定着した。テレワークやワーケーションは、会社に一方的に労働時間の把握を義務づけるのでなく、会社と社員で管理し合えるような仕組みをデジタル上で作り、それが発達していけば推進しやすくなる。

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