空港に商業モール?関空・伊丹の未来予想図 運営権売却で関西2空港はどう変わる
さらに、発着回数は過去最高となる13万を突破するなど、開港以来の活気に沸いている。運営権売却は今がベストのタイミングだった。今後は、10月に募集要項の配布と入札を開始。2015年6月に優先交渉権者を選定し、9月に実施契約を締結する。
運営権を手にした企業連合は、着陸料をはじめ、各航空会社のカウンターや商業施設のテナントなどからの賃料収入を得ることができる。ただし、巨額な運営権料を考えると、現状のままでは黒字化が困難。ここで課題となるのが、新たな収益源の確保である。
空港内にモール開設?
その解決のヒントになりそうなのが、近年、海外で増えている空港内のショッピングモール(SM)開設だ。
たとえば韓国・ソウルの金浦国際空港では、2011年に大型SM「ロッテモール金浦空港」がオープン。百貨店やスーパー、映画館、ホテルなどが入居し、休日ともなると大勢の客が集まるスポットへと変貌した。また、シンガポールのチャンギ国際空港では、2018年に大型SMや植物園などが入るレジャー施設を開業させる計画が進行中だ。
これらの商業施設に共通するのは、飛行機を利用する人だけでなく、近隣からの集客を見込んでいる点。映画館やアミューズメント施設など深夜も遊べるスポットを提供できれば、24時間空港としての魅力も向上する。
建設スペースをどう確保するか、また運営権料の支払いに加えて巨額の設備投資が必要になるという問題はあるが、空港として必要な本来の機能以外へも展開することが黒字化の必要条件となろう。
“副業”による黒字化への道筋が整えば、関空が飛躍する可能性は一段と高まる。商業施設などで収益が上げられれば、着陸料の引き下げも将来的には可能となり、便数の増加も期待されるからだ。
さらに、人の動きが増えることで空港アクセス拡充への機運も高まりそうだ。関空には現在、JR西日本と南海電気鉄道が乗り入れているが、梅田(大阪駅)までは1時間近くを要する。利用者増によって新たな高速鉄道が整備され、都心まで30分程度で結ばれれば、関空一帯が香港国際空港のように国際展示場を備えたMICE地区として発展することも期待できよう。
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