改革逆走 大田弘子著
経済改革の政策メニューは明らかだが、それをいかに議会政治の中で実現していくか。「改革後退期」の安倍・福田内閣で司令塔役を担った、民間人出身の元経済財政相による民主党政権への「引継書」である。
日本経済の構造的な弱みとして「生産性の低さ、グローバル化の遅れ、硬直的な労働市場」に着目。この克服が潜在成長力の向上に欠かせないとして、今はなき経済財政諮問会議を拠り所に、果敢に政策作りに取り組む。
政策決定プロセスの透明性こそ確保されたが、この間、各種の会議・会合が林立を始め、官邸主導の「骨太方針」の根幹を揺さぶる。既得権益の壁を崩すことは簡単ではない。郵便貯金と財政投融資の非効率と無駄の排除にも逆風が吹く。
成長戦略の発動や財政再建への取り組みの前に立ちはだかったものは何か。これから同種の取り組みを始める民主党政権にとっても、その経験と反省は大いに参考になるはずだ。
日本経済新聞出版社 2100円
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