原油価格、7年ぶり1バレル=100ドル台はあるのか ハリケーン後遺症+需給逼迫要因が目白押し
そうした在庫取り崩しや需給逼迫は、需要増よりも、生産が伸び悩んでいることが背景となっている。
OPECプラス(石油輸出国機構と同機構に非加盟の有力産油国で構成)はすったもんだの揚げ句、現在は昨年4月に合意した大幅な協調減産の減産幅の縮小、つまりは増産を進めている。だが、そのペースは1カ月に日量50万バレルというかなりゆっくりとしたものであり、景気回復に伴う需要の増加に追いついていない。
シェール企業は急な増産困難、需給一段と逼迫へ
アメリカ国内のシェールオイルの生産は、昨年の価格急落局面でシェール企業の破綻が相次いだことから、投資家から採算を重視するように締め付けられており、以前のように採掘コストの高い油田でも積極的に生産を増やすことができなくなっているのが実際のところだ。
需要面では、新型コロナのデルタ変異株などの感染拡大に対する懸念は根強いものの、それでも景気は回復基調を維持しており、少なくともアメリカでは再び経済活動を大きく制限するような政策を打ち出す可能性は低そうだ。
アメリカ政府は9月20日、ワクチン接種を終えた外国人に対し、11月から原則的に入国を認める方針を発表した。最後まで低迷していた航空機需要も、これを受けていよいよ増加基調に転じる可能性が高そうだ。
需要がこのまま増加基調を維持するいっぽうで、生産の回復が遅れるという状況に変化がなければ、この先需給の逼迫が解消に向かうこともないだろう。冬場の暖房需要期に向けて、原油価格の指標であるWTI原油先物価格が1バレル=80ドルを超えてさらに上昇することも、十分にありうる。2014年以来の100ドル台復帰さえ、あながち否定はできない展開になりつつある。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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