ゴーンCEOの役員報酬8.9億円をすんなり認めた日産の株主総会--問われる株主たちの“民度”
株主は真剣にゴーンCEOの経営を見守っているのか?
8億9000万円--日産自動車CEOのカルロス・ゴーンの役員報酬である。
どこと比べると適正なのかが問題だが、カルロス・ゴーンCEO本人としては、「世界基準(米国・欧州)と比べれば決して高くはない」という金額になる。
株主総会では多少の異論はあったようだが、大枠では了承ムードだったと伝えられる。「ゴーンCEOはガイジンだから仕方がない」--。それは論理を超えている、というかまるでコンプレックスにほかならないといった感もないではない。
しかし、これは日産自動車の株主たちの「民度」が問われる話ではないか。
物わかりのよい株主だけでは日産自動車はよくならない。カルロス・ゴーンCEOやIR・総務担当者は、とりあえずほっとしたのかもしれない。だが、そんなことで日産自動車は「よい会社」「強い会社」になれるのか。
相当な異論が噴出して了承されたということなら、日産自動車株は「買い」になる。
株主たちが真剣に厳しくカルロス・ゴーンの経営を見守り、ダメな経営ならば、CEOを解任するぐらいの気概があるなら、カルロス・ゴーンも気が抜けない。
株主総会が大枠でシャンシャンと終わったというのでは、株主たちのチェックが機能していないということになる。
黒字化だが無配、という業績は、「8.9億円」に見合うか?
日産の前10年3月期は収益が何とか黒字化した。これは一定評価できるだろう。しかし、配当は無配である。日産も一応気を使って、9億円を1000万円削って8億9000万円に刻んだ節がある。