スカイマーク、手元現金確保に”奥の手” ファンドも食指。ヤマ場は繁忙期後の秋か
不採算路線からの撤退や機材計画変更、部品類の売却に至るまで、ここまでスカイマークが慌ただしく動くのには理由がある。この秋以降に迎える”ヤマ場”を前にできるだけ潤沢な現金を確保をしておくためだろう。
改めて同社の苦境が鮮明になったのは、7月31日に発表した2014年第1四半期(4~6月期)決算だった。売上高は前年同期比1.5%減の181億円。提供座席数の増加で旅客数は増えたものの、競合激化による単価下落で減収を強いられた。6月から運航を始めたA330の導入に伴って、機材費や運航乗務員の訓練費が増加。原油価格が高水準で推移したため、燃油費も膨らんだ。その結果、本業の儲けを示す営業利益段階で55億円の赤字(前年同期は24億円の営業赤字)となった。
エアバスが契約解除を通告
また、4月にA380に対する前払い金の支払いが未納となったことを受けて、7月末にエアバスからA380の購入契約の解除を通告された。スカイマークは交渉継続を求めているが、エアバスが態度を変えなければ支払い済みの前払い金265億円が戻ってこないうえ、数百億円規模の違約金の支払いを求める損害賠償訴訟を起こされる可能性すらある。
これらを受けて、スカイマークの第1四半期決算短信には「継続企業の前提に関する注記」が新たに記載された。決算短信は、企業が将来にわたって無期限に事業を継続することを前提に作成されている。だが、業績悪化で資金繰りが厳しくなったり、今後の営業に重大な支障が出かねないなど、その前提に疑義が生じた場合、決算短信や有価証券報告書にその事実と解消策を記載しなければならない。