白血病治療と娘の中学受験が重なった母の大奮闘 必要なのは家庭教師ではなく「コンサルタント」

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奇跡は起きなかったが、私たちが中学受験を続けられた裏にはたくさんの幸運があったと思う。

第一は、発病のタイミングだ。発病が1年ずれていたら、長女の6年生夏に入院、中学1年生の4月に退院というスケジュールになっていた。さすがにこのタイミグで白血病を発症したら、受験そのものが無理であったと思う。

同じ塾に息子さんが通っていた親しいママ友が、塾の保護者会での話や、準備しなければならないテキスト等について入院中に事細かに教えてくれた。おかげで、病院にいながらも塾の動きは把握できたし、信頼しているママ友が塾関連のことをタイムリーに教えてくれたことで、娘も不安を解消することができた。

日本語教師を長年していた私の母は、国語の語彙や漢字を丁寧に見てくれた。受験は体力勝負という面も大いにあるが、母は食事づくりを通じて栄養面でのサポートも120%してくれた。

コンサルタントのスキルは中学受験指導にも活用できる

最後に、長女の頑張りを褒めてやりたい。入院する前に、上位クラスにいたこともあり、中学受験にやる気をもってコミットしていた長女。母親が長期入院となったあとも、低空飛行ながらもなんとかよくしのいだと思う。

友だちが家族に支えられながら勉強しているのに、「なんで自分はひとりで頑張らなければならないの?」と思ったことだろう。

でも、歯を食いしばってあの難局を乗り切った。コンサルタントのスキルは、中学受験でも活用することができる。

ただ子どもがクライアントだと、アナログなツールを活用せざるを得なかったり、メンタルマネジメントが必要だったりと、物理的に横にいないとできることが非常に限られていた。

要するに、入院中の私はたいしたことはできなかった。母親が病気になって大変な状況に陥ったからといって、奇跡は起きない。受験は、皆に平等だ。

母親不在での中学受験勉強。母子ともに、薄氷を踏む思いで乗り越えた。大変な思いはしたが、この経験を通じて長女は確実にたくましく成長した。そんな彼女の将来が楽しみな自分。自分は、とても幸せな母親だと思う。

山添 真喜子 コンサルタント

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やまぞえ まきこ / Makiko Yamazoe

1974年東京都生まれ。大学卒業後、ITコンサルティングファーム、監査法人、環境コンサルファームと外資系企業を渡り歩き、米コロンビア大学で行政学(環境政策)修士課程を修了。帰国後、国内系の総合シンクタンクに入社し、サステナビリティ経営を専門とするコンサルタントとして活躍。2人の娘を育てながらプロジェクトマネージャーとして多忙な日々を送っていた際、急性リンパ性白血病を発症。2018年7月末から9カ月にわたる抗がん剤治療を乗り越え退院。2020年8月に在宅にて維持療法を終了し、2021年秋に復職。「がんノート」の動画インタビューやインスタグラム等で情報を発信している。

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