白血病治療と娘の中学受験が重なった母の大奮闘 必要なのは家庭教師ではなく「コンサルタント」

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③の「算数の対策」は、間違えた問題があった小テスト等を他のプリントと分けて管理し、問題集の間違えには×印をきちんと記入するようにする。それら間違えた問題を繰り返し解くようにと伝えた。

娘がクライアント、母がコンサルタント

こうした対応で、入院後2カ月は上位クラスを維持できたが、秋が始まるとともにだんだんとクラスが下がってきた。

「私のやってきたことは、他の人に頼めないからなあ」

そう頭を悩ませるようになったのは、がん細胞を一掃するためにきつい抗がんを用いる寛解療法が終わった後。体調が落ち着いて大部屋での生活をし始めた10月半ばぐらいからだった。

治療中でも白血球数が高ければ、患者は病棟を出られる。そこで、白血球数が安定している期間に病棟の会議室を借りて、娘の算数を見ることにした。間違えた算数の問題を解く長女の横に座り、見守る。再度間違えた場合は、その理由を分析させる。問題を間違えなくなるまで、解き直しを繰り返すことで、苦手な問題の解き方を定着させる。

単純ではあるが、実際に娘の横に座っていないとできない作業だ。この「マンツーマン算数復習時間」が、4時間〜5時間確保できた月のテストの結果は、好調だった。

抗がん剤治療を再開し面会ができなくなると、月次テストの結果は下がった。悪戦苦闘している娘をよそに、私の退院が延期されることが確定した。当初は2019年1月中の退院を期待していたが、早くても帰宅できるのが3月末~4月初旬になることがわかり、私もかなり焦ってきた。

苦肉の策として、大学生の家庭教師をつけてみることにした。感じのよい女子学生に来てもらったのだが、わからない問題のみを教える家庭教師の効果はなかった。娘に必要なのは、「算数の家庭教師」ではなく、プロジェクトマネジメントと伴走コンサルティングを提供してくれる「コンサルタント」だった。

入院前の私の役割を整理すると、こうなる。立場としては、長女がクライアント、私はプロジェクトマネージャー兼コンサルチームのメンバーコンサルタントの一人二役。プロジェクトマネージャーは2020年2月の中学受験を本丸、2019年夏までの志望校決定をマイルストーンとしてプロジェクト管理を行っていた。

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