上越新幹線「Max」引退、2階建て車両の栄枯盛衰 在来線グリーン車は定着、一方で消えた車両も

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E1系が好評だったことから、1997年にはさらに居住性を向上したオール2階建て新幹線第2弾となるE4系が開発された。

迫力あるE4系「Max」のデザイン(撮影:南正時)

こちらは1編成の長さを8両、座席定員817人とし、混雑する列車では2本を連結した16両編成で運転。この場合の座席定員は1634人で、これは世界の高速列車の中で最大級の輸送力だ。外観デザインもE1系と比べるといわゆるキャノピー型のロングノーズの特徴あるフォルムとなり、さらにMax人気は盛り上がった。

しかし、ほかの新幹線電車が高速化されるなかで最高時速が240kmのMaxはダイヤの障害にもなり、さらにバリアフリー化が求められる昨今はその対応もままならず、車両の老朽化も進んだ。こうしてMaxは2021年10月1日に定期運用を終えることになった。2階建て新幹線が日本の鉄道から消えることは、現在の日本の経済状況、世相を象徴しているようで寂しい。

一方、海外のオール2階建て超高速列車はフランスのTGV Duplex(デュプレックス)が1995年に登場し、その後も増備が続いて現役で活躍中だ

平成初期に相次ぎ登場、在来線2階建て車

今やJR東日本の在来線普通列車のグリーン車は2階建て車両が主流となったが、狭軌の在来線初の2階建て車が登場したのは国鉄民営化直後の1989年と、標準軌の近鉄や新幹線に比べ遅かった。

東海道線根府川鉄橋を渡る113系電車。中間にステンレス製の2階建てグリーン車を連結している(撮影:南正時)

始まりはJR東日本が東海道本線のいわゆる湘南電車に投入したステンレス製車両で、当時の新型である211系のグリーン車サロ212形・サロ213形と、国鉄時代からの車両113系に連結するサロ124・125形だった。後者は塗装された編成の中にステンレス車体の2階建て車が連結されたため、異彩を放った。

1980年代から90年代にかけて遠距離通勤の着席率向上が課題となり、1992年にはオール2階建て電車の215系が登場した。着席保証列車の「湘南ライナー」などに使用する目的で造られ、普通車もグリーン車もすべて2階建てとされた。

その構造とスタイルから1992年にグッドデザイン賞を受賞したが、通勤電車なのにドアが1両に2カ所ということでスムーズな乗降ができずに遅れが多発する結果となり、やがて日中の快速列車からは離脱。その後は一部の「湘南ライナー」や観光シーズンの「ホリデー快速ビューやまなし」などで運転されたが、2021年3月に定期運転を終了した。

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