【産業天気図・人材サービス】製造業需要は回復傾向も、労働者派遣法改正が不安材料で「曇り」止まり

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

 人材サービス業界は、2010年4月から1年終始、「曇り」止まりの鈍い業況回復になりそうだ。リーマンショック以降続いた顧客企業の雇用調整一巡は回復しつつあるものの、業界企業の業績は守備分野によってまだら模様。全体的な戻り感は低位にとどまる見通しだ。

現在、需要回復が最も鮮明なのが、工場での製品組み立てなどの製造業派遣・請負分野だ。リーマンショック後の自動車・電機産業の生産激減を契機に、派遣社員の解雇や雇い止めが続発。「派遣切り」が社会問題化した分野だ。

しかしその後、労働者派遣法改正を見越して、派遣契約から請負契約または直接雇用(期間工)へ契約形態をシフト。最近の半導体や自動車産業の生産回復を背景に、人材需要の回復傾向が鮮明になっている。それを反映して、UTホールディングス<2146>やアウトソーシング<2427>、フジスタッフホールディングス<2147>など、製造業派遣・請負企業の業績も立ち直りつつある。

一方、厳しい局面が続くのが、メイテック<9744>などの技術者派遣分野だ。同分野は「特定派遣」と呼ばれる雇用形態で、派遣会社が技術者を雇用期間の定めのない社員として雇用し、企業に派遣する形を取っている。派遣先との契約が切れた後も、メイテックやアルプス技研<4641>などの上場企業は技術者の雇用を維持。雇用調整助成金を支えにしている。

メイテックは10年1月以降、役員や管理職の報酬や手当のカットなどのコスト削減策に着手。今年度は営業利益の黒字化を狙っている。ただ、10年3月末時点のグループ内の非稼働社員は1700人前後と依然として高い。

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