「孤立する人を生まない組織」こそ幸せになれる訳 生産性に影響が大きく、マネジメントで改善可能

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われわれは、この孤立という問題の解決のために、データを利用した実験的なアプリを開発し、適用した。コールセンターには、オペレーターの支援を行ったり、声かけを行ったりするスーパーバイザーがいる。この開発したアプリは、スーパーバイザーに孤立した人をつくらないような、声かけの優先度を示すものである。ウェアラブル端末のデータから、そのとき孤立している人を検出し、その人への声かけを促すのだ。

このアプリを約1年にわたり使用してもらった。また、まったく同じ業務を行っているもう1つのセンターには、このアプリを使わずにそのまま業務を行ってもらい比較した。その結果、この孤立を防ぐアプリによって、2つのセンターで、受注率は年平均で27%もの大差がついた。大きな業績の差になって表れたのだ。テクノロジーを使えば、データに基づき支援が必要な人を検出することができ、スーパーバイザーがその人に優先的に行動を起こすことが可能になること、その結果、従業員の孤立を防げることがわかったのである。

幸せなリモートワークのための4箇条

コロナ禍以降、在宅勤務あるいはリモートワークや、リモートとフィジカルのハイブリッドワークが広く行われるようになった。しかし、リモートワーク疲れを感じたり、難しさを感じたりする人も増えている。リモートワークでは孤立が発生しやすい。先の例でもわかるように、孤立は生産性に大きな影響を与える組織の病である。そして、孤立はマネジメントによる介入によって緩和することができる。

拙著『予測不能の時代』でも詳しく解説しているが、幸せで生産的な集団には、普遍的に見られる以下の4つの特徴があることが研究からわかっており、これはリモートワークでも成り立つ。

第1の特徴(F=Flat) 人と人のつながりが特定の人に偏らず均等である(上司と部下の関係だけでなく、いろいろな立場の人どうしがつながっている)

第2の特徴(I=Improvised) 5分から10分の短い会話が高頻度で行われている(いつでも立ち話でちょっとした確認・相談ができる雰囲気がある)

第3の特徴(N=Nonverbal) 会話中に身体が同調してよく動く(うなずきや、相づちが会話中に行われている)

第4の特徴(E=Equal) 発言権が平等である(一部の人だけが一方的に話すということがない)

すなわち、幸せで生産的なリモートワークができる集団では、このFINE(=Flat-Improvised-Nonverbal-Equal)なコミュニケーションがあり、いろいろな人と人の組み合わせで、5分程度の短い相談や質問や雑談が、リモート環境でも頻繁に生じている。そして面会やビデオ会議の際には、互いに身体を同調させ、それが見えやすい工夫をすることで信頼や共感を、言葉を超えて確認しあいながら、遠慮せず皆が発言しあっているのである。

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