中国、チベットに「高速鉄道並み」新線建設の狙い 観光・産業振興のほか中印国境問題も背景に?
「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ山脈に接するチベット高原に2021年6月25日、新たな鉄道が開通した。「ラサ―林芝鉄道」(拉林鉄路)と呼ばれるこの新路線は、全長は400km超、大半の区間が海抜3000m以上にありながら、最高時速160km走行を実現した高規格路線だ。
ラサ―林芝鉄道は、チベット自治区の中心都市・ラサ(拉薩)と同自治区南西部のニンティ(林芝)を結ぶ。公式発表によると全長435.48kmで、途中9つの駅があり、ラサと四川省の省都である成都とを結ぶ計画中の鉄道路線「四川チベット鉄道」(川蔵鉄路、1629km)の西側部分にあたる。また、2006年に全通した「青海チベット鉄道」(青蔵鉄路、1956km)とラサ駅で接続しており、現状でも遠回りながら中国各地と線路が繋がっている。
開通からほどない7月22日、
永久凍土に高架線を建設
ラサ―林芝鉄道の建設は2015年に開始された。全線が酸素の薄い高山地帯にあり、平地では永久凍土の上に高架線を建設。橋梁は121カ所あり、ガンジス川の上流に当たるヤルンツァンポ川を16回横断する。
トンネルも、長さ10km超の6本を含め計47本ある。中でも全長11560mの米林トンネルは平均標高3100mの高地にあるが、地表面からの深さが1200m余りもあるほか、掘削中に有毒ガスが噴出したり、異常な高温に悩まされたりと、世界でこれまでに掘られたトンネルの中でも特に難度が高かったという。
ラサ―林芝鉄道は、青海チベット高原のガンジス山脈とヒマラヤ山脈に挟まれたチベット自治区南東部の谷間を縫って敷設されている。単線ではあるが、既存の青海チベット鉄道が非電化なのに対し、全線が電化されている。
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