中国の「台湾侵攻」を絵空事と捉えてはならない訳 最悪の事態を招かないために日本は何ができるか

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河野:中国は経済発展とともにいま海洋進出している。これは理解できる。ただ、問題は国際ルールに中国が従っていないということ。彼らの考え方は、第一列島線の内側は自分たちで排他的にコントロールするというのが彼らの海軍戦略になっている。今いちばん自分たちでコントロールできていないのが台湾と尖閣だ。香港もそうだったのだが、もう抑え込んだ。

毛沢東や鄧小平の時代であれば、海洋進出をそれほどしていなかったので、台湾をこのままに置いておいても、まあ、いいかなという時代があった。しかし、今はそういう時代を通り過ぎて、海洋進出のために台湾は絶対不可欠になってきた。この台湾問題というのは毛沢東、鄧小平時代よりも解決しなければならない緊急性が中国にとっては高まっているということが言える。離島については、例えば、東沙島という中国側に近い島がある。実質的に主権を持っている。守備隊が250人ほどいるが、民間人はいない。例えば、この島を中国が占領するとなると、台湾にとっては完全なる主権侵害だから、台湾政府としては絶対反応せざるをえない。

しかし、離島(占領)でアメリカが出てくるかとなると、なかなか判断が分かれるところ。そうなったとき、台湾内で、政府を支持して奪還だという勢力もあるだろうが、こんなことで大陸中国と本当に戦争するのか、という人たちも出てくる。こうなると国論が二分し、臨時革命政府のようなものが出てくるなど、さまざまなシナリオが考えられる。可能性としては離島奪還というのは考えておかなければいけない。

(写真:FNNプライムオンライン)

松山キャスター:台湾の中の世論も二分して、反撃に出るべきかどうかで混乱が生じる可能性があるということか。

河野:そうだ。

世界の秩序をつくっていく中での対中政策は?

新藤義孝・自民党政調会長代理:大事なことは、台湾有事がいつ起きるかというと、それは、中国がアメリカをしのぐ圧倒的な力を持ったときに必ず起きてしまう。だから、そうさせないことが重要。中国は一帯一路の世界戦略を組んでいるが、すべてバイ(個別)だ。中国と相手の国との2国間を強めようとしているだけだ。私たちはそうではなく、クワッドも含め、もっと大きなネットワークをつくり世界の秩序をつくろうとしている。そこに私たちに優位性がある。中国に自分たちにはそういった力があるのだと、間違った考えを持たせないことが重要だ。

中国が国際社会のルールに従うのではなく、国際社会のルールは皆で作るのだと。なぜ台湾問題にあれほど固執するか、尖閣を狙っているかというと、国は海を使わないと経済を維持できない。中国が太平洋に出て行こうと思うと、現実に自由に動けるところは、沖縄と宮古の間しかない。あとは日本列島と台湾がかぶさっている。南シナ海も同じ。

なぜ中国は自分のものにしてわが物顔でそこを使おうとするのか、皆の海なのだから、ルールを守りながらお互いに使えばいいではないかと。できるのだということを彼らに思わせなければいけないのだが、彼らは自分たちでまず手に入れてからと思い込んでいる節がある。そんなに心配しなくても皆でルールを作ろうよと。あなたに従わせるのではなく、皆で一緒に平和をつくっていくのだと言い続けるしかない。

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