中国の「台湾侵攻」を絵空事と捉えてはならない訳 最悪の事態を招かないために日本は何ができるか

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河野克俊前統幕長:いまの中国の体制ではなかなか難しいと思う。海洋進出に際し、海洋での国際ルールを中国は守っていない。やはり守らせる必要がある。そのため、クワッドにヨーロッパ諸国が加わってきている。

松山キャスター:日米豪印。

河野:そうだ。それに加えてヨーロッパ。この枠組みによって(中国の行動を)変えさせるというよりも、国際法無視の行動をできるだけ抑制する、この政策を推進すべきだ。中国は、ASEAN(東南アジア諸国連合)に対しても各個撃破だ。ここは多国間で中国に対応することがいちばん得策だ。

中国の海洋進出においていちばんの焦点は台湾情勢

松山キャスター:海洋進出の勢いを強めている中国について、いちばんの焦点なのは、台湾をめぐる情勢だと思う。アメリカ海軍の幹部は「台湾有事はいつかの問題であって、あるかないかの問題ではない」と、時期の問題だけなのだと、言っている。

櫻井よしこ氏(国家基本問題研究所理事長):私もそのとおりだと思う。習近平体制にとって、習近平国家主席が政権を守るため、自身が第二の毛沢東になるため、台湾はどうしても統合しなければいけない。その準備ができたとき、そして政治的に決断をするときが、まもなく来るのだろうと思う。こちら側も抑止するのに十分な力を持たなければいけない。中国はいま非常に早いペースで核戦力を拡大している。中国とロシアとの合同軍事演習をみても、容易ならざる決意をもってやっていると。

松山キャスター:台湾については、なぜ中国がそこまでこだわるのかというのをみていきたい。

梅津キャスター:中国を中心にして地図を逆さにしたものだ。中国が海洋進出しようとすると、奄美、沖縄、石垣、そして尖閣諸島や台湾などがふさぐような形になっているのがわかる。ちょうどこれが第一列島線と重なる。いかに中国にとって台湾を抑えることが重要かがわかる。そこで河野前統合幕僚長が最も可能性が高いと考える台湾侵攻のシナリオが台湾の離島奪取だ。

松山キャスター:台湾の本島ではなく離島を奪取するというシナリオが考えられるとのことだが、どういう意味か。

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