デルタ株とワクチン接種、途上国は時間との戦い アジア開発銀行の浅川総裁に聞く「支援と課題」
ワクチン接種の9割近くは中高所得国に集中
――アジアの新興・途上国のワクチン接種の状況は?
デルタ株が蔓延しないうちになるべく早くワクチンのロールアウトを進める必要があり、時間との戦いだ。流行の抑制が遅れれば、新たな変異株の出現につながるリスクもある。しかしながら、7月下旬時点で世界のワクチン接種は累計35億回を突破したが、その9割近くは中高所得国に集中している。
アジア開発銀行は昨年末、開発途上加盟国がワクチンを迅速に調達するための90億ドルの融資枠「APVAX」を作った。対象となるワクチンの適格性基準は、COVAX(各国へ平等にワクチンを分配するための国際的な枠組み)やWHO(世界保健機関)の事前認証、緊急使用リストなどに準拠しており、英アストラゼネカや米モデルナ、米ファイザー、米ジョンソン&ジョンソン、中国のシノファームやシノバックスのワクチンも使える。
APVAXでは、融資の要件として加盟国に医療従事者や高齢者、貧困層の接種を優先するワクチン分配計画を求めている。6月末までにフィリピン、インドネシア、アフガニスタン、太平洋島嶼国、モンゴルなど7カ国15億ドルが決まり、別途3.2億ドルの協調融資も動員している。
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