ついに姿を消す中国産”ヨーロッパウナギ” ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されたばかり

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いずれにしても、前出の日本鰻輸入組合の森山理事長が「来年以降はヨーロッパウナギを中国が輸出できなくなるという話は前から聞いていた」と話すように、「在庫切れ」は業界関係者の間ではすでに知られた話のようだ。「もう手に入らなくなると聞いているので、今期でヨーロッパウナギの販売は終了する予定。今後インドネシア産など別種のウナギの輸入も視野に入れる」(スーパーの仕入れ担当者)と冷静に受け止める声もある。

一方、ゼンショーホールディングスが運営する「すき家」では、店頭で提供するウナギの全量をヨーロッパウナギでまかなっているが、「来年以降どうするかまだ何も決まっていない」(広報担当者)と言うように、対応を決めかねているところもあるようだ。幸い今年はニホンウナギ稚魚の漁獲量が回復しており、ヨーロッパウナギが消えても、大きな混乱がすぐに起こることはなさそうだ。

ニホンウナギも窮地

ニホンウナギも規制強化が確実。値段はどうなるのか(撮影:髙橋孫一郎)

しかし、水産庁のデータでは、ニホンウナギ稚魚の国内漁獲量はピーク時の232トン(1963年)から、昨年は5トンにまで落ちた。今年は漁獲量が回復したといっても、趨勢的に減少していることは間違いない。IUCNの絶滅危惧種に指定されたことで、2016年に行われる予定のワシントン条約締結国会議でも議論の対象になるとみられる。資源保護に向けた規制の動きが強まるのは確実で(関連記事「養殖量の制限やむなし、狭まるウナギ包囲網」)、ヨーロッパウナギの代替にはなりそうにない。

水産庁では国内養殖の大半を占めるニホンウナギの実態把握など、資源の保護に向けた取り組みに力を入れている。こうした動きに「ウナギが枯渇してしまえば商売ができなくなる」(日本養鰻漁業協同組合連合会)など、理解を示す声も業界内では多い。卵から育てる完全養殖が軌道に乗れば、現在よりもウナギの供給が安定するうえ、自然界への負荷も少なくなると期待がかかるが、まだ商業化できるレベルには至っていない。

ヨーロッパウナギが店頭から姿を消す日が刻々と近付いており、残るニホンウナギもまた絶滅危惧種となった。今後もおいしいウナギを堪能するために、消費者は一定の我慢をするときに来ているといえるだろう。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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