リアル店舗が「ネットに勝つため」の5つの手段 あえて「入場料を取ることで成功した書店」も
③イベント化
人は人と会いたい生き物です。また、モノはあまり買わないけれど、体験することにはおカネを惜しまない傾向もあります。せっかくリアル店舗という空間があるのですから、そこを人と出会える場として演出し、人を呼び込むのです。
たとえば、地元の人的ネットワークや交流会の拠点になるような活動をしていくと、店舗はリアルSNSのような付加価値を持ちえます。定期的なイベントを開催し続けていると、単にモノを売る店舗ではないと認識されていくのです。
これは、飲食店などに限りません。複数店舗が協力してはじめた朝市が、隣市からも人を集める名物になったところもあります。温泉旅館でも無数のネコと触れ合えるところ、鉄道模型が走っているところもあります。そうなると、ふつうの観光客とは違う人を強く引きつけることができます。非日常体験のできる演出もウリになるのです。
④スクール化
これも、モノをコト化する考え方です。物販をソフト化し、「学びの場」として価値を高めていくのです。前述の書店なら速読教室を開く、またはホームセンターがDIY教室を、ペットショップが飼い方教室、文具店が書道教室を開いたりする。あるいは、美容室がヨガ教室を開催するなども、美を追求する共通点があるのでいいでしょう。
食料品店であれば料理教室になります。同じ野菜を取り扱うのでも、野菜ソムリエになって専門的な知識を啓発していけば、感謝されながら販売につなげることもできます。パン屋さんならパンの焼き方、ケーキ店ならお菓子づくり教室へと展開できるでしょう。スポーツ用品店ならスポーツ指導、コーチング、用具の手入れ法を指導するなどです。
単価を上げるために企業を相手にしよう
⑤BtoB化
一般の生活者を相手にするビジネスでは、単価が高くなりにくいと言えます。これが企業や団体相手となると、販売量や金額も高くなり、売上も安定する傾向にあります。たとえば、人材系や営業ノウハウ系のコンサルタントも、個人のビジネスマン向けにセミナーやコーチングをするのではなく、企業の研修案件を受注する方向へ軸足を移せば、売上は数倍にもなります。
企業や団体向けの営業と言っても、それほど敷居が高いわけではありません。クリーニング店なら、家庭用ではなく、キャバクラなどの大型飲食店や舞台衣装専門へと展開すればいいのです。あるいは寝具店が、宿泊施設や公共施設への貸し布団サービスを売り込むこともできます。企業や役所では、災害時用の寝具の備蓄需要も開拓できるのではないでしょうか。企業や職域向け、または外商、自治体・学校向けなど、対象はさまざまです。
以前、ある塗料メーカーから、木部の傷つき防止・光沢コーティング剤を開発し、家庭向けにセールスをしているがうまくいかない、という相談を受けたことがありました。一般家庭が、床やカウンタートップに高額なコーティングをするという習慣はありませんので、営業は苦戦して当たり前です。このケースでは、傷つき防止によって、インテリアの美しさを保つことが、集客に影響を与えるようなビジネスユースを狙うべきです。ホテルやレストラン、劇場など、施設の美観維持やメンテナンスに、もともとコストがかかっているような業態です。
傷つき防止や光沢維持に関するエビデンスを提示でき、費用対効果が見合うと理解してもらうことができれば、受注に至るのです。実際、この会社は、営業先を上記のような施設に変えたことで、受注できるようになりました。
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