リアル店舗が「ネットに勝つため」の5つの手段 あえて「入場料を取ることで成功した書店」も
売るだけではなく、手づくり・DIY教室、ペットの飼い方相談会、枕やシューズ、インソールなどのオーダーメイド受け付け、ビュッフェスタイルのレストランなら、その場で魚をさばく、寿司を握る、惣菜を揚げるなど、いくらでも思いつきそうです。
酒店が珍しい地酒の利き酒会を催したり、食器店が包丁とぎ師を呼んで実演したり、食材店が料理教室を開くなど、モノではなくコト化する試みは多く見られます。
リアル店舗の5つの方向性
商店や町工場の職人さんが、自身の専門知識を教える「街ゼミ」も同じです。個店がユニークな体験やイベント性を設けてネットにはない価値を発揮する。そのためには、具体的に5つの転化が有効な方向性であると考えています。
【リアル店舗5つの方向性】
①専門化
②サービス化
③イベント化
④スクール化
⑤BtoB化
それでは、各項目を説明していきます。
①専門化
狭い分野に絞り込み、「このカテゴリーでは日本一」となる──。ネット店舗は「店頭」はなく、在庫を持ちやすいため、どうしても総合化しますが、リアル店舗はバランスよく品ぞろえをしていけば、たまにしか売れない商品は淘汰されていきます。また、なんでもある店舗は、欲しいものが探しにくい店舗でもあります。
そして、目的買いをしたい人が探してまで来店してくれるためにも、特色を出すことが必要です。たとえば、衣料品全般ではなく靴下に特化する、さらにスポーツソックス専門店へと絞り込む。そして、特定種目を決めて掘り下げていく、など。
相模原にある文具店では「左利きグッズコーナー」を展開し、たびたび新聞やテレビに取り上げられています。左利き用商品の売上ボリュームは大きくないとしても、同店は発信力のある有名店なのです。
②サービス化
家電を買うとき、空気清浄機のようにコンセントにつなげばすぐに使えるものは、ネットで買うことに躊躇はありません。しかし、エアコンや洗濯機など、設置に専門家を必要とする家電となると実店舗で買う人が増えます。あのジャパネットたかたも、エアコンの設置サービスが万全であることを強調して売上を伸ばしました。
たとえば、あなたが電動アシスト自転車を販売するなら、新品だけを売ろうとせず、まずはバッテリー交換に特化するのも一つの方法です。そうすると、なかには買い替えのお客様が新品を買ってくれるようになるものです。また、高所得者層や高齢者は、とくに接客サービスの質を気にする傾向があります。
その他にも、購入の相談係という役割やオーダー加工、御用聞きや出張などの人的サービスをていねいに展開することによって、ネットショップや大手チェーンでは満たせないニーズをつかむことができます。
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