日本人もやりがち!過度な序列重視の落とし穴 都合の悪い情報が上司の耳に入らない根本理由

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権力の勾配が大きいところでは、「一歩ずつ」のやりとりに限定される。指揮系統を飛び越えることは、社会的にも序列的にもタブーとされている。

2003年にスペースシャトル「コロンビア」の悲劇が起きたとき、リーダーたち(彼らは、1986年に起きた「チャレンジャー」の悲劇を通じて、自由にものが言える文化を築いてきたと自負する人々だ)は行動を起こさなかった。

デブリ(ロケットの残骸など地球の周囲に浮遊する不要となった人工物)評価チームのリーダーを務めたロドニー・ロチャは、発射時に「コロンビア」が被った損傷が致命傷であると証明するための調査を行わないとの上層部の決定に異を唱えるメールを書いた。だが、送信はしなかった。

その理由を尋ねられた彼は、指揮系統を飛び越えたくなかったからだと答えている。

このようなことは組織でよく起こるが、それは、コミュニケーション、命令、情報をすべて同じように扱うからにほかならない。理想を言えば、命令は指揮系統に従うべきだが、情報は組織全体を自由に流れることが望ましい。

上司に送るメールに都合の悪い情報を書けるか

権力の勾配は、情報の検閲と正比例の関係にある。権力の勾配が大きい会社の社員は、情報を慎重に検閲したうえで上司とやりとりする。

悪い知らせを排除したうえでメールの文面を組み立て、上司から何か提案があれば、いいと思ったにせよ、悪いと思ったにせよ、沈黙を保つ。そして、良し悪しが勝手に証明されますようにと祈る。

権力の勾配は真っ先に感情に訴えかけてくるので、強大な権力を持つ人しだいで、権力を持たない人に自らの価値を実感させることや、強大な権力を持っている人々と対等に近づいたと感じさせることができる。そうなれば、権力を持たない人々が率先して口を開くようになる。

だからこそリーダーは、権力の勾配に敏感になり、自ら勾配を小さくすることに努めなければならない。

権力の勾配が大きいと、立場が上であると知らしめる必要があると言わんばかりに、上司があからさまに権力を振るうことがある。そういうときは、次のような表現がよく用いられる。

❖「ここでいちばん偉いのは私だ」
❖「私がそう決めた」
❖「ここは私の会社だ」
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