サムスン、"9年ぶり減収"の深刻度 中国のスマホ販売が不振、漂い始めた暗雲

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例えば、携帯端末ではこれまでのハイエンド製品の拡販に力を入れると同時に、中・低価格品では、ハイエンド品の機能を一部搭載することでシェアを奪回。一方で、ハイエンド製品への乗り換え需要を掘り起こし、収益性と確保するという戦略のようだ。

一方、不振が続くシステムLSI事業のテコ入れも図る。中国をはじめLTE、LTE-A向けのインフラ構築が進むことで、サムスン電子が開発したARM系マイクロプロセッサ「エクシノス」(Exynos)の新型を今下半期から自社製品に搭載。これにより、拡大するLTE利用を土台に、携帯端末と部品の半導体事業の収益力も同時に測る方針のようだ。

焦る経営陣?決算会見時の表情は硬いまま

同社の第2四半期決算は株価にも影響。韓国株式市場では7月31日、8月1日とサムスン電子株は大幅に下落。韓国の証券会社も、同社の第3四半期業績にはやや厳しい目を向けている。

証券会社の多くが、第3四半期の営業利益も、前四半期と変わらない7兆ウォン~7兆5000億ウォン程度になると予想。一部では、7兆ウォンを切るとの予想を出しているところもある。「第3四半期は中・低価格品のシェアは拡大しそうだが、販売単価が本当に上がるのかどうか。価格面での値下げ圧力が続くことが予想され、営業利益が大きく反転するとは考えにくい」(韓国の証券アナリスト)。

「決算発表時の経営陣の表情が硬かった」と意外そうに話す。どんな決算内容でも堂々として自信満々の発表を行うサムスン電子だが、今回はおとなしかったという。

いずれにしろ、第3四半期に「ギャラクシー」などスマホのシェアが改善されなければ、今後は厳しい目を向けざるを得ないという雰囲気が、韓国の証券業界に広まりつつある。サムスン電子がこうした見方に対して、踏ん張れるかどうかが注目される。
 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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