ボーイングが最新機種でも「操縦桿」を使う理由 ジェット旅客機の2大メーカーでこんなに違う

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さらに、オートパイロットや自動推力装置においてもボーイングとエアバスには違いがあります。

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ボーイングの場合は、オートパイロットで飛行していても主飛行制御コンピュータ(PFC)が算出したそれぞれの舵角に見合うように、バックドライブ・アクチュエーターと呼ばれる作動装置で、操縦桿、操縦輪、ラダー・ペダルが動くようになっています。

これはオートパイロットによる自動飛行中であっても、パイロットが直感的に飛行状況を把握できるようにするためです。同じ考え方からスラストレバーもエンジン出力状況に合わせて動くようになっています(図4)。

一方、エアバスはオートパイロット中にサイドスティックが動くようなシステムではありません。

また、スラストレバーは離陸推力位置、上昇推力位置などが決まっており、パイロットがその位置まで手動で動かして出力を決定しています(図5)。乱暴にいえば、スラストレバーは一種の「スイッチ」のような役割であり、出力状況に合わせて動くことはありません。

ボーイング787のスラストレバー(図4)
エアバスA350のスラストレバー(図5)
中村 寛治 航空解説者

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なかむら かんじ / Nakamura Kanji

神奈川県横浜市出身。早稲田大学卒。全日本空輸株式会社にて30数年間、ボーイング727、747の航空機関士として国内の主要都市、世界10カ国以上、20都市以上の路線に乗務。総飛行時間は1万4807時間33分。

現在は、エアラインでのフライト経験を生かし、実際に飛行機に乗務していた者から見た飛行機のしくみ、性能、運航などに関する解説や文筆活動を行っている。

おもな著書に『カラー図解でわかるジェットエンジンの科学』『カラー図解でわかるジェット旅客機の操縦』『カラー図解でわかるジェット旅客機の秘密』(サイエンス・アイ新書)、『ジェット・エンジン(運用編)』『空を飛ぶはなし』(日本航空技術協会)、『面白いほどよくわかる飛行機のしくみ』(日本文芸社)などがある。

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