「投資をケチりすぎる経営者」が日本を滅ぼすワケ

数字で見る「投資の弱小国」日本の悲しい惨状

国の未来を決める「研究開発」「設備投資」「人材投資」で、日本は「弱小国」になり果てているといいます(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、「日本には研究開発、設備投資、人材投資が圧倒的に足りない」ことを解説してもらう。

「賃金引き上げ」の後は「投資促進」が復活のカギに

2021年7月14日、最低賃金の議論が決着しました。今年の10月から、最低賃金は28円引き上げられます。率にして3.1%の上昇です。菅政権では初めての最低賃金の引け上げとなり、安倍政権から始まった毎年3%以上のトレンドに戻りました。

『日本企業の勝算』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

日本経済の行く末を決める最大の課題だった最低賃金については、引き上げが再開されました。次に大切になるのは、それを可能にする「投資」です。今回は日本の投資を検証します。

前回の記事(非正規雇用が「日本の生産性」低迷させる根本理由)で説明したように、諸外国の分析では「生産性が上がるから実質賃金が上がる」のではなく、「実質賃金が上がるから生産性が上がる」という因果の方向性が明らかになっています。これは経営者のインセンティブによるもので、賃金が上がった分を補填するため、企業が投資をして労働生産性を高めようとするからだと説明されています。

つまり、最低賃金を引き上げた後、菅政権には企業による投資を促進する政策が求められるのです。MMTであっても、財政出動は投資政策にほぼ限定するべきです。

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