首都圏、新線できれば「安く早く」なりそうな区間 開業したらどう変わる?運賃と時間を独自試算

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一方、都心部へは豊洲方面ではなく、八潮からつくばエクスプレス線への直通運転という検討も上がっている。もしこのルートが完成すると、野田市―東京間は現在なら東武アーバンパークライン・つくばエクスプレス・JR線経由(流山おおたかの森・秋葉原乗り換え)で57分・970円のところ、直通37分で1010円(野田市―八潮間はつくばエクスプレス並み運賃で想定=18km480円)となる。

しかし、TX乗り入れを想定すると、現状でも朝ラッシュ時に1時間最大25本を走らせている八潮―秋葉原間で、直通列車を受け入れるだけの余裕があるかは疑問もある。

東京直結鉄道にメリット?別の新線構想

そこで活用できるであろう路線が「池袋・竹ノ塚線」構想だ。池袋から直線距離で10kmの足立区竹ノ塚までを結ぶ地下鉄新線で、西巣鴨・王子・豊島五丁目団地・江北・大師前を通るルートで、平成初期に足立区、北区、豊島区を中心に構想されていた。実現すれば現在は西日暮里・北千住乗り換えで35分・500円の竹ノ塚―池袋間が10分に短縮され、運賃もつくばエクスプレス線の水準なら340円になるだろう。

そして竹ノ塚から先、八潮まで延伸して東京直結鉄道線・つくばエクスプレス線と線路を繋げば、東京直結鉄道線の乗り入れによって圧迫されるつくばエクスプレス線の線路混雑緩和や、八潮から東京方面へ直通できずにあぶれてしまう列車の受け皿になるだろう。近年はあまり動きがない構想だが、東京直結鉄道などと組み合わせれば北関東各地からの利用者が見込め、時間短縮効果も広範囲にわたりそうだ。実現すれば東武線、東京直結鉄道、TX沿線からは東京方面だけでなく池袋へも1本で行けるようになる。

今回はいくつかの新線計画と予想される効果を紹介したが、いかがだったであろうか。都心部やその周辺がほとんどであり、路線単体で見ればインパクトは小さいが、直通先や接続路線との組み合わせによっては大きな時短効果と運賃低減効果を引き出せる可能性を秘めているものが多いのではないか。新路線の開業には高いハードルがあるが、今後どうなるかが楽しみだ。

北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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