他人の不幸に「快楽を覚える人」のための処方箋

闇というのは誰もが持ち合わせている

ひょっとしたら、不運な人や苦しむ人を踏み台にして自己肯定しているだけではないのかと思うようになりました。これは、一種の他人の不幸を面白いと思ってしまう姿だと思います。そこから自己嫌悪に陥り、しばらく人知れず苦しい気持ちでいました。

誰しも闇をもっていると受け止める

しかし、今では以前ほどつらくはありません。会食でお話を伺った方の言葉を通して、「闇というのは誰もが持ち合わせている」ということを知ったからです。

この人間の本性ついて、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人(しんらんしょうにん)は、ご自身の姿を通して「小慈小悲もなき身にて、有情利益はおもうふまじ」と述べられています。

これは、「慈悲」という「人の苦しみに寄り添い安心を与える」という心は自分には微塵(みじん)もないゆえ、他人の救いや手助けを願う思いは本当の意味では持ち合わせていないという意味です。

改めて親鸞聖人の人間の本性を見抜く洞察力と自分自身を赤裸々に語る勇気に感服します。しかし、同時に安心も感じることはできないでしょうか? 現代の日本社会において最大の仏教宗派の1つと言われる浄土真宗の宗祖であり、多くの人々から尊ばれる親鸞聖人でさえ「闇」を抱えておられたのですから。

どんな人だって「闇」というものをそれぞれ抱えているということを受け止め、自分が特別に「悪い」「嫌な」人間ではないと思うようにしてください。

しかし、それでもやはり自分のドロドロした姿を認めたくない方もおられると思います。このような気持ちを緩和するのに役立つ考え方が、「表裏一体」です。

これはどういうことかというと、「光」がなければ「闇」はなく、「闇」がなければ「光」もないということです。人に光を当てると、かならず影ができます。それが人の「闇」というものです。何を思い、何を考え、何を行ったとしても、陰という名の「闇」はまとわりつくということです。つまり切っても切り離せないのです。

しかし、大事なのは「光」という名の「善」「真心」「他を想う気持ち」を持ち合わせているということを、自身でしっかりと受け止めることです。

確かに人の「闇」の深さというものは底知れぬものかもしれません。しかし、その底知れぬ「闇」を照らす「光」もまた、はかり知れない力を持つものだと思います。

自分の「闇」だけに目を向け、その闇にのみ込まれるのではなく、その「闇」を照らす「光」にも目を向け、基本的には「自分は善のほうが強い」という性善説に立って、これまでどおり生活していただきたいと思います。

そして、自分の「闇」を見ることができるというのは、誰もができることではないことを忘れないでください。なぜなら、自分を正直に見つめるというのは「勇気」のいることであり、普通は目を背けるか、むしろ気にしないようにするものだからです。

しかし、せっかく他人にはない視点を持ち合わせているのであれば、この視点をうまく利用し、謙虚さをさらに身につけたり、物事の洞察を深めたり、自分の日々の振る舞いに磨きをかけるように生活していくこともできるのではないでしょうか。

どうぞ、これからの目標として過ごしてみてください。

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