静岡県、リニアと熱海土砂災害で「ダブスタ」疑惑 同一委員の発言をリニアで黙認、土砂災害で批判

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熱海土砂災害の「盛り土」崩壊メカニズムを説明する難波副知事(筆者撮影)

熱海土砂災害の原因は、起点となった崩落個所の不適切な「盛り土」が焦点となっている。静岡県の難波喬司副知事は、原因究明に向けて連日、記者会見を行っている。

さまざまな報道が飛び交う中、唯一、難波副知事が激怒したのは7月9日付静岡新聞夕刊1面トップ記事。「はっきり申し上げるが、誤りである」「不確定な情報で危険性を指摘するのは不適切だ」など批判した。

同紙は、県リニア専門部会委員を務める環境調査会社技師長の塩坂邦雄氏が9日午前行った会見を報道した。つまり、難波副知事は、塩坂氏の発表内容が誤りであり、県に報告なく記者会見をしたのは不適切だ、と指摘したのだ。もっとも、塩坂氏の“お騒がせ発言”は、県リニア会議でも繰り返され、JR東海だけでなく、県職員らを悩ませている。

人為的な「河川争奪」が起きた?

では、今回の熱海土砂災害での塩坂発言とはどのようなものだったか。

難波副知事は、大災害の全容解明に向けて、大規模土石流の起点となった「盛り土」崩壊のメカニズムなどを説明。以下の3つの観点からそれぞれ詳しい検証を行っているという。

1)500mmにも及ぶ長雨蓄積型の天候要因
2)産業廃棄物が混ざり、届け出の1.5倍もの不適切な「盛り土」という人的要因
3)適切な指導、監督などできなかった行政責任

そんな中、難波副知事は9日夕方、「ある新聞(同日付静岡新聞夕刊)を見て驚愕した。不確定な情報で危険性を指摘するのは不適切だ。被災者の方たちがどう思うか」などと塩坂氏の発表内容を問題にした。

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同紙によると、塩坂氏は4、6日の現地調査に基づいて、大規模土石流で起点となった逢初(あいぞめ)川源流部の「盛り土」付近の造成地で尾根が削られたため、造成地側から「盛り土」付近に水が大量に流れ込んだと見立てた。逢初川の流域面積が約4万平方mから6倍以上の約25万平方mに増えたのが、崩壊の要因だと説明。逢初川の流域拡大は、人為的な開発による「河川争奪」が起こったという独自の見解を示した。

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